今回は、インサイダー取引規制を勉強しようということで、公開買付者等関係者のインサイダー取引規制について見てみたいと思います。
インサイダー取引規制には、大きく「会社関係者」と「公開買付者等関係者」に対する規制がありますが、
① 会社関係者の禁止行為
・規制対象となる主体
・規制対象となる情報
・規制対象となる取引
② 公開買付者等関係者の禁止行為
・規制対象となる主体 ←本記事
・規制対象となる情報 ←本記事
・規制対象となる取引 ←本記事
③ ①②とも情報伝達行為・取引推奨行為の禁止
その中で、本記事は黄色ハイライトを引いた箇所の話です。
ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。
メモ
このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。
公開買付けとは
公開買付けとは、ざっくりいうと、不特定多数の株主から、取引所外で、株式を買い集めることです。公告により、買付け等の勧誘をします(金商法27条の2第6項)。
TOB(Take Over Bid)とも呼ばれます
▽(参考)金商法27条の2第6項:公開買付けのベーシックな意味
6 この条において「公開買付け」とは、不特定かつ多数の者に対し、公告により株券等の買付け等の申込み又は売付け等(売付けその他の有償の譲渡をいう。以下この章において同じ。)の申込みの勧誘を行い、取引所金融商品市場外で株券等の買付け等を行うことをいう。
インサイダー取引規制においては、他社株の公開買付け(以下①)のほか、
- 上場等株券等の公開買付け
- 上場等株券等の買集め行為
- 発行者による上場株券等の公開買付け
のように、買集め行為(②)や自社株の公開買付け(③)があり、まとめて「公開買付け等」と呼ばれています。
この「公開買付け等」をする者が「公開買付者等」です。
条文では、公開買付者等関係者のインサイダー取引規制について定める金商法167条の中で出てきます。
▽金商法167条1項(※抜粋。【 】は管理人注)
(公開買付者等関係者の禁止行為)
第百六十七条 …【①】第二十七条の二第一項に規定する株券等で金融商品取引所に上場されているもの、店頭売買有価証券若しくは取扱有価証券に該当するもの(以下この条において「上場等株券等」という。)の同項に規定する公開買付け(同項本文の規定の適用を受ける場合に限る。)若しくは【②】これに準ずる行為として政令で定めるもの又は【③】上場株券等の第二十七条の二十二の二第一項に規定する公開買付け(以下この条において「公開買付け等」という。)をする者(以下この条及び次条第二項において「公開買付者等」という。)…
規制対象となる主体(167条1項)
公開買付者等関係者(1項各号)
公開買付者等関係者というのは、インサイダー取引規制の規制対象となる主体を指す概念で、公開買付けを行う者との特別な関係を前提として情報を取得した者のことです。
長い名称になっていますが、要するに、「公開買付者等」の関係者のことです
▽金商法167条1項(※「…」は管理人が適宜省略)
(公開買付者等関係者の禁止行為)
第百六十七条 次の各号に掲げる者(以下この条において「公開買付者等関係者」という。)であつて、…上場等株券等…の…公開買付者等…の公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた後でなければ、公開買付け等の実施に関する事実に係る場合にあつては…特定株券等…又は…関連株券等…に係る買付け等…をしてはならず、公開買付け等の中止に関する事実に係る場合にあつては当該公開買付け等に係る株券等に係る売付け等…をしてはならない。…(略)…。
一~六 (略)
「次の各号に掲げる者」とされているように、公開買付者等関係者の類型は、1号~6号までに定められています。
ざっくりいうと、
- 公開買付者等の役員等(1号)
- 帳簿閲覧権を有する株主(2号)
- 法令に基づく権限を有する者(3号)
- 契約締結者、締結交渉中の者(4号)
- 公開買付け等の対象会社・役員等(5号)
★自社株の公開買付けの場合は除かれている - ②④⑤の公開買付者等関係者が法人である場合の他の役員等(6号)
のようになっています。
①の「役員等」は、役員(会計参与が法人であるときはその社員)、代理人、使用人その他の従業者のことです(金商法166条1項1号参照)。
一応、条文と一緒にざっと確認してみます。
▽金商法167条1項各号(※「知ったとき」の部分は省略)
【1号:公開買付者等の役員等】
一 当該公開買付者等(その者が法人であるときは、その親会社を含む。以下この項において同じ。)の役員等(当該公開買付者等が法人以外の者であるときは、その代理人又は使用人)
【2号:帳簿閲覧権を有する株主】
二 当該公開買付者等の会社法第四百三十三条第一項に定める権利を有する株主又は同条第三項に定める権利を有する社員(当該株主又は社員が法人であるときはその役員等を、当該株主又は社員が法人以外の者であるときはその代理人又は使用人を含む。)
【3号:法令に基づく権限を有する者】
三 当該公開買付者等に対する法令に基づく権限を有する者
【4号:契約締結者、締結交渉中の者】
四 当該公開買付者等と契約を締結している者又は締結の交渉をしている者(その者が法人であるときはその役員等を、その者が法人以外の者であるときはその代理人又は使用人を含む。)であつて、当該公開買付者等が法人であるときはその役員等以外のもの、その者が法人以外の者であるときはその代理人又は使用人以外のもの
【5号:公開買付け等の対象会社・役員等】
五 当該公開買付け等(上場株券等の第二十七条の二十二の二第一項に規定する公開買付けを除く。)に係る上場等株券等の発行者(その役員等を含む。)
【6号:2号、4号、5号の公開買付者等関係者が法人である場合の他の役員等】
六 第二号、第四号又は前号に掲げる者であつて法人であるものの役員等(その者が役員等である当該法人の他の役員等が、それぞれ第二号、第四号又は前号に定めるところにより当該公開買付者等の公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実を知つた場合におけるその者に限る。)
「公開買付者等関係者」の類型(金商法167条1項各号)は、概ね、「会社関係者」の類型(金商法166条1項各号)と共通しています
元公開買付者等関係者(1項後段)
公開買付者等関係者は、各号の要件から外れて公開買付者等関係者でなくなっても、その後6か月以内は規制対象とされます。
▽金商法167条1項後段
(公開買付者等関係者の禁止行為)
第百六十七条 …(略)…。当該公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実を次の各号に定めるところにより知つた公開買付者等関係者であつて、当該各号に掲げる公開買付者等関係者でなくなつた後六月以内のものについても、同様とする。
知った(1項各号)
ここまで見てきたような公開買付者等関係者(元公開買付者等関係者も含む)は、いかなる場合にも規制対象となるということではなく、公開買付け等の実施又は中止に関する事実を職務などに関して知ったときに規制対象となります。
別の言い方をすると、情報の入手経路が法定されており、それとは無関係な偶発的事情で重要事実を知ったような場合は、規制対象から除かれているわけです
これも、公開買付者等関係者の類型とセットで、各号に定められています。
▽金商法167条1項(※「…」は管理人が適宜省略)
(公開買付者等関係者の禁止行為)
第百六十七条 次の各号に掲げる者(以下この条において「公開買付者等関係者」という。)であつて、…上場等株券等…公開買付け等…をする者(以下この条及び次条第二項において「公開買付者等」という。)の公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた後でなければ、公開買付け等の実施に関する事実に係る場合にあつては…特定株券等…又は…関連株券等…に係る買付け等…をしてはならず、公開買付け等の中止に関する事実に係る場合にあつては当該公開買付け等に係る株券等に係る売付け等…をしてはならない。…(略)…。
一~六 (略)
まとめると、以下のようになっています。
【「知った」場合】
公開買付者等関係者の類型 | 「知った」場合 |
---|---|
① 公開買付者等の役員等(1号) | その者の職務に関し知ったとき |
② 帳簿閲覧権を有する株主(2号) | 当該権利の行使に関し知ったとき |
③ 法令に基づく権限を有する者(3号) | 当該権限の行使に関し知ったとき |
④ 契約締結者、締結交渉中の者(4号) | 当該契約の締結若しくはその交渉又は履行に関し知ったとき |
⑤ 公開買付け等の対象会社・役員等(5号) | 当該公開買付者等からの伝達により知ったとき(当該役員等にあつては、その者の職務に関し当該公開買付者等からの伝達により知ったとき) |
⑥ ②④⑤の公開買付者等関係者が法人である場合の他の役員等(6号) | その者の職務に関し知ったとき |
規制対象となる情報(2項)−公開買付け等事実
公開買付者等関係者のインサイダー取引規制について、規制対象となる情報は、
- 公開買付者等による公開買付け等の実施に関する事実
- 公開買付者等による公開買付け等の中止に関する事実
の2つです。両方まとめて呼ぶときは「公開買付け等事実」といいます(3項)。
▽金商法167条1項(※「…」は管理人が適宜省略)
(公開買付者等関係者の禁止行為)
第百六十七条 次の各号に掲げる…公開買付者等関係者…であつて、…上場等株券等…公開買付け等…をする者(以下この条及び次条第二項において「公開買付者等」という。)の公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた後でなければ、公開買付け等の実施に関する事実に係る場合にあつては…特定株券等…又は…関連株券等…に係る買付け等…をしてはならず、公開買付け等の中止に関する事実に係る場合にあつては当該公開買付け等に係る株券等に係る売付け等…をしてはならない。…(略)…。
一~六 (略)
中身は、2項で定められています。
▽同条2項
2 前項に規定する公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実とは、公開買付者等(当該公開買付者等が法人であるときは、その業務執行を決定する機関をいう。以下この項において同じ。)が、それぞれ公開買付け等を行うことについての決定をしたこと又は公開買付者等が当該決定(公表がされたものに限る。)に係る公開買付け等を行わないことを決定したことをいう。ただし、投資者の投資判断に及ぼす影響が軽微なものとして内閣府令で定める基準に該当するものを除く。
ここでいう「決定」は、会社法上の機関(取締役会etc)など法定の機関による決定に限られず、業務執行を実質的に判断する機関において決定されれば該当します。つまり、形式的な機関決定のことを指しているのではなく、実質的に判断されます。
この点は、会社関係者のインサイダー取引規制における決定事実にいう「決定」と同様です。
また、ただし書に定められているように、投資家の投資判断に及ぼす影響が軽微なものを除くための軽微基準があり(取引規制府令62条)、この点も決定事実の場合とパラレルな部分です。
規制対象となる取引
買付け等または売付け等
公開買付者等関係者のインサイダー取引規制について、規制対象となる取引は、
- 公開買付け等の実施に関する事実に係る場合 →株券等の買付け等
- 公開買付け等の中止に関する事実に係る場合 →株券等の売付け等
と表現されています。
公開買付けが行われる場合、通常は株価などは値上がりするので、インサイダーが行うであろう買付けが禁止され、他方、公開買付けが中止される場合、通常は株価などは下落するので、インサイダーが行うであろう売付けが禁止されています
条文も確認してみます。
▽金商法167条1項(※「…」は管理人が適宜省略)
(公開買付者等関係者の禁止行為)
第百六十七条 次の各号に掲げる…公開買付者等関係者…であつて、…上場等株券等…公開買付け等…をする者(以下この条及び次条第二項において「公開買付者等」という。)の公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該公開買付け等の実施に関する事実又は公開買付け等の中止に関する事実の公表がされた後でなければ、公開買付け等の実施に関する事実に係る場合にあつては…特定株券等…又は…関連株券等…に係る買付け等(特定株券等又は関連株券等(以下この条、次条第二項、第百七十五条の二及び第百九十七条の二第十五号において「株券等」という。)の買付けその他の取引で政令で定めるものをいう。以下この条、次条第二項、第百七十五条の二第二項及び第百九十七条の二第十五号において同じ。)をしてはならず、公開買付け等の中止に関する事実に係る場合にあつては当該公開買付け等に係る株券等に係る売付け等(株券等の売付けその他の取引で政令で定めるものをいう。以下この条、次条第二項、第百七十五条の二第二項及び第百九十七条の二第十五号において同じ。)をしてはならない。…(略)…。
一~六 (略)
公表(4項)
規制対象となるのは、これら規制対象となる取引を公表前に行うことですが、ここでいう「公表」の内容は、4項に定められています。
「公表」の内容は、ざっくりいうと、
- 多数の者の知り得る状態に置く措置
- 新聞等報道機関2社以上+12時間ルール(施行令30条1項1号)
- TDnetを通じた適時開示(同2号~5号)
★4号・5号は公表措置をとる公開買付者等が上場会社等でない場合(上場会社等である対象会社または親会社を通じた適時開示)
- 開始公告(中止の場合は撤回公告・公表)
- 公開買付届出書(中止の場合は公開買付撤回届出書)の公衆縦覧
のようになっています。
TDnetを通じた適時開示については、日本取引所グループHPに以下のような解説があります。
条文も確認してみます。
▽金商法167条4項(※【 】は管理人注)
4 第一項から前項までにおける公表がされたとは、【①】公開買付け等事実について、当該公開買付者等により多数の者の知り得る状態に置く措置として政令で定める措置がとられたこと、【②】第二十七条の三第一項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。次項第八号において同じ。)の規定による公告若しくは第二十七条の十一第二項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による公告若しくは公表がされたこと又は【③】第二十七条の十四第一項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。同号において同じ。)の規定により第二十七条の三第二項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。同号において同じ。)の公開買付届出書若しくは第二十七条の十一第三項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)の公開買付撤回届出書が公衆の縦覧に供されたことをいう。
適用除外(5項)
インサイダー取引規制の趣旨は、資本市場の公正さやこれに対する信頼を害するという点にあるので、投資家の信頼を害するおそれの低い取引については、類型的に、規制対象から除外されています。
公開買付者等関係者のインサイダー取引規制において、このような適用除外には、
- 既に有する権利の行使
- 法令による場合
- 応援買い
- 防戦買い
- 安定操作による買付け等・売付け等
- 知っている者間の取引所市場等によらない場合
- 一定の情報受領者などの場合
- 組織再編
- 知る前契約の履行
- 知る前計画の実行
- その他特別の事情
といったものがあります。
金商法167条5項に定められており、1号~14号までがあります。
一応、条文と一緒にざっと確認してみます。
▽金商法167条5項(※【 】は管理人注)
5 第一項及び第三項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
【1号~2号の2:既に有する権利の行使】
一 会社法第二百二条第一項第一号に規定する権利を有する者が当該権利を行使することにより株券を取得する場合
二 新株予約権(これに準ずるものとして政令で定める権利を含む。)を有する者が当該新株予約権を行使することにより株券(これに準ずるものとして政令で定める有価証券を含む。)を取得する場合
二の二 株券等に係るオプションを取得している者が当該オプションを行使することにより株券等に係る買付け等又は売付け等をする場合
【3号:法令による場合】
三 会社法第百十六条第一項、第百八十二条の四第一項、第四百六十九条第一項、第七百八十五条第一項、第七百九十七条第一項、第八百六条第一項若しくは第八百十六条の六第一項の規定による株式の買取りの請求(これらに相当する他の法令の規定による請求として政令で定めるものを含む。)又は法令上の義務に基づき株券等に係る買付け等又は売付け等をする場合
【4号:応援買い】
四 公開買付者等の要請(当該公開買付者等が会社である場合には、その取締役会が決定したもの(監査等委員会設置会社にあつては会社法第三百九十九条の十三第五項の規定による取締役会の決議による委任又は同条第六項の規定による定款の定めに基づく取締役会の決議による委任に基づいて取締役の決定したものを含み、指名委員会等設置会社にあつては同法第四百十六条第四項の規定による取締役会の決議による委任に基づいて執行役の決定したものを含む。)に限る。)に基づいて当該公開買付け等に係る上場等株券等(上場等株券等の売買に係るオプションを含む。以下この号において同じ。)の買付け等をする場合(当該公開買付者等に当該上場等株券等の売付け等をする目的をもつて当該上場等株券等の買付け等をする場合に限る。)
【5号:防戦買い】
五 公開買付け等に対抗するため当該公開買付け等に係る上場等株券等の発行者の取締役会が決定した要請(監査等委員会設置会社にあつては会社法第三百九十九条の十三第五項の規定による取締役会の決議による委任又は同条第六項の規定による定款の定めに基づく取締役会の決議による委任に基づいて取締役の決定した要請を含み、指名委員会等設置会社にあつては同法第四百十六条第四項の規定による取締役会の決議による委任に基づいて執行役の決定した要請を含む。)に基づいて当該上場等株券等(上場等株券等の売買に係るオプションを含む。)の買付け等をする場合
【6号:安定操作による買付け等・売付け等】
六 第百五十九条第三項の政令で定めるところにより株券等に係る買付け等又は売付け等をする場合
【7号:知っている者間の取引所市場等によらない場合】
七 第一項に規定する公開買付け等の実施に関する事実を知つた者が当該公開買付け等の実施に関する事実を知つている者から買付け等を取引所金融商品市場若しくは店頭売買有価証券市場によらないでする場合又は同項に規定する公開買付け等の中止に関する事実を知つた者が当該公開買付け等の中止に関する事実を知つている者に売付け等を取引所金融商品市場若しくは店頭売買有価証券市場によらないでする場合(当該売付け等に係る者の双方において、当該売付け等に係る株券等について、更に同項又は第三項の規定に違反して売付け等が行われることとなることを知つている場合を除く。)
【8号・9号:一定の情報受領者などの場合】
八 特定公開買付者等関係者(公開買付者等関係者であつて第一項各号に定めるところにより同項に規定する公開買付け等の実施に関する事実を知つたものをいう。次号において同じ。)から当該公開買付け等の実施に関する事実の伝達を受けた者(その者が法人であるときはその役員等を、その者が法人以外の者であるときはその代理人又は使用人を含む。)が株券等に係る買付け等をする場合(当該伝達を受けた者が第二十七条の三第一項の規定により行う公告において次に掲げる事項が明示され、かつ、これらの事項が記載された当該伝達を受けた者の提出した同条第二項の公開買付届出書が第二十七条の十四第一項の規定により公衆の縦覧に供された場合に限る。)
イ 当該伝達を行つた者の氏名又は名称
ロ 当該伝達を受けた時期
ハ 当該伝達を受けた公開買付け等の実施に関する事実の内容として内閣府令で定める事項
九 特定公開買付者等関係者であつて第一項第一号に掲げる者以外のもの又は特定公開買付者等関係者から同項に規定する公開買付け等の実施に関する事実の伝達を受けた者(特定公開買付者等関係者を除き、その者が法人であるときはその役員等を、その者が法人以外の者であるときはその代理人又は使用人を含む。)が株券等に係る買付け等をする場合(特定公開買付者等関係者にあつては同項各号に定めるところにより同項に規定する公開買付け等の実施に関する事実を知つた日から、当該伝達を受けた者にあつては当該伝達を受けた日から六月が経過している場合に限る。)
【10号~13号:組織再編】
十 合併等により株券等を承継し、又は承継させる場合であつて、当該株券等の帳簿価額の当該合併等により承継される資産の帳簿価額の合計額に占める割合が特に低い割合として内閣府令で定める割合未満であるとき。
十一 合併等の契約(新設分割にあつては、新設分割計画)の内容の決定についての取締役会の決議が公開買付者等の公開買付け等事実を知る前にされた場合において、当該決議に基づいて当該合併等により当該公開買付け等に係る株券等を承継し、又は承継させるとき。
十二 新設分割(他の会社と共同してするものを除く。)により新設分割設立会社に株券等を承継させる場合
十三 合併等、株式交換又は株式交付に際して当該合併等、株式交換又は株式交付の当事者であつて公開買付け等に係る上場等株券等又は上場株券等の発行者である会社が有する当該会社の株券等の交付を受け、又は当該株券等を交付する場合
【14号:知る前契約の履行/知る前計画の実行/その他特別の事情】
十四 公開買付者等の公開買付け等事実を知る前に締結された当該公開買付け等に係る株券等に係る買付け等若しくは売付け等に関する契約の履行又は公開買付者等の公開買付け等事実を知る前に決定された当該公開買付け等に係る株券等に係る買付け等若しくは売付け等の計画の実行として買付け等又は売付け等をする場合その他これに準ずる特別の事情に基づく買付け等又は売付け等であることが明らかな買付け等又は売付け等をする場合(内閣府令で定める場合に限る。)
結び
今回は、インサイダー取引規制を勉強しようということで、公開買付者等関係者のインサイダー取引規制について見てみました。
インサイダー取引規制については、以下のような解説ページがあります。
[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。
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主要法令等・参考文献
主要法令等
- 金商法(「金融商品取引法」)
- 金商法施行令(「金融商品取引法施行令」)
- 取引規制府令(「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」)
- インサイダー取引に関するQ&A(金融庁、証券取引等監視委員会)
- 情報伝達・取引推奨規制に関するQ&A(金融庁)
日本取引所グループ
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