今回は、印紙税法ということで、記載金額の計算について見てみたいと思います。
印紙税法における記載金額の計算は、どの課税文書に所属するかの判定や、適用される税率(印紙税額)を決定する上で重要な要素です。
印紙税法は、記載標準となる金額をどのように算定し、また複数の金額や特殊な表記、税金(消費税等)が含まれる場合にどう処理すべきかについて、細かいルール(課税物件表の適用に関する通則4および基本通達等)を定めています。本記事では、これらについて、項目ごとに詳しく解説していきます。
ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。
メモ
このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。
記載金額の意義と基本定義
記載金額とは、原則としてその文書に記載されている金額のうち、課税事項に関して直接証明の目的となっている金額をいいます。
この記載されている金額には、数字として直接的に金額が記載されている場合だけではなく、以下のようなケースも記載金額があるものとして扱われます。
- 計算可能である場合:
文書内に単価と数量が記載されており、それを掛け合わせるなどして契約金額が算出できる場合 - 記号や符号等により明らかにできる場合:
金額を意味する記号、符号、あるいは第三者には分からないような符丁などが記載されており、その実質を判断することで金額を明らかにできる場合
同一・複数号が混在する場合の計算ルール(通則4イ・ロ・ハ)
一つの文書に複数の金額が並記されていたり、異なる号にまたがる事項が書かれていたりする場合、以下のルールに従って記載金額を計算します。
同一号の課税事項が複数ある場合:合算(通則4イ)
一の文書の中に、課税物件表の同一の号に該当する記載金額が2箇所以上ある場合は、その合計額がその文書の記載金額となります。
具体例
- 請負契約書(第2号文書)において、「A工事200万円、B工事300万円」とそれぞれ別々に記載されている場合
➡ 合計した500万円が記載金額となります
▽法別表第一 課税物件表の適用に関する通則4
4 この表の課税標準及び税率の欄の税率又は非課税物件の欄の金額が契約金額、券面金額その他当該文書により証されるべき事項に係る金額(以下この4において「契約金額等」という。)として当該文書に記載された金額(以下この4において「記載金額」という。)を基礎として定められている場合における当該金額の計算については、次に定めるところによる。
イ 当該文書に二以上の記載金額があり、かつ、これらの金額が同一の号に該当する文書により証されるべき事項に係るものである場合には、これらの金額の合計額を当該文書の記載金額とする。
2以上の「異なる号」の課税事項が記載されている場合(通則4ロ)
区分記載されている場合(通則4ロ⑴)
それぞれの金額を課税事項ごとに区分して記載することができる(分かれている)場合は、その文書が最終的に所属することとなった号に係る金額のみを記載金額とします。
具体例
- 不動産と債権の売買契約書(第1号の1文書と第15号文書に該当し、通則3のイにより第1号の1文書に所属決定)において、「不動産700万円、債権200万円」と区分記載されている場合
➡ 所属した第1号の1文書に係る700万円のみが記載金額となり、債権の200万円は課税上無視されます
▽法別表第一 課税物件表の適用に関する通則4ロ⑴
ロ 当該文書が2の規定によりこの表の二以上の号に該当する文書である場合には、次に定めるところによる。
(一) 当該文書の記載金額を当該二以上の号のそれぞれに掲げる文書により証されるべき事項ごとに区分することができるときは、当該文書が3の規定によりこの表のいずれの号に掲げる文書に所属することとなるかに応じ、その所属する号に掲げる文書により証されるべき事項に係る金額を当該文書の記載金額とする。
区分記載されていない場合(通則4ロ⑵)
それぞれの金額を区分することができない場合は、原則としてその金額の全部(一括記載された総額)がその文書の記載金額となります。
具体例
- 不動産と債権の売買契約書において、内訳がなく「合計900万円」とだけ一括して記載されている場合
➡ 900万円全体が記載金額となります
▽法別表第一 課税物件表の適用に関する通則4ロ⑵
(二) 当該文書の記載金額を当該二以上の号のそれぞれに掲げる文書により証されるべき事項ごとに区分することができないときは、当該金額(当該金額のうちに、当該文書が3の規定によりこの表のいずれかの号に所属することとなる場合における当該所属する号に掲げる文書により証されるべき事項に係る金額以外の金額として明らかにされている部分があるときは、当該明らかにされている部分の金額を除く。)を当該文書の記載金額とする。
第17号の1文書(売上代金受取書)における特例(通則4ハ)
領収書において、売上代金(17号の1)に該当する金額と、売上代金以外(17号の2:借入金など)に該当する金額が混在する場合のルールです。
区分されている場合(通則4ハ⑴)
売上代金に係る金額とその他の金額が区分されている場合は、売上代金に係る金額のみが記載金額(17号の1)となります。
具体例
- 領収書に「売上代金20万円、借入金返済元本200万円」と区分して書かれている場合
➡ 記載金額は売上代金に係る20万円となります
▽法別表第一 課税物件表の適用に関する通則4ハ⑴
ハ 当該文書が第十七号に掲げる文書(3の規定により同号に掲げる文書となるものを含む。)のうち同号の物件名の欄1に掲げる受取書である場合には、税率の適用に関しては、イ又はロの規定にかかわらず、次に定めるところによる。
(一) 当該受取書の記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額に区分することができるときは、売上代金に係る金額を当該受取書の記載金額とする。
区分されていない場合(通則4ハ⑵)
金額が区分されていない場合は、一括された金額の全部が売上代金に係る受取金額として扱われます。
▽法別表第一 課税物件表の適用に関する通則4ハ⑵
(二) 当該受取書の記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額に区分することができないときは、当該記載金額(当該金額のうちに売上代金に係る金額以外の金額として明らかにされている部分があるときは、当該明らかにされている部分の金額を除く。)を当該受取書の記載金額とする。
「計算」「引用」による記載金額の特定(通則4ホ)
文書そのものに直接的な金額の数字が記載されていなくても、数式の構成要素や他の不課税文書を引用していることで記載金額を特定するルールがあります。
単価、数量、記号その他による算出(通則4ホ⑴)
文書に記載されている単価や数量を掛け合わせることで、客観的に契約金額を計算できる場合は、計算して算出した金額がそのまま記載金額となります。
具体例
- 加工請負契約書(第2号文書)に「加工数量10,000個、加工料単価500円」と記載されている場合
➡ 10,000個 × 500円 = 500万円が記載金額になります
▽法別表第一 課税物件表の適用に関する通則4ホ⑴
ホ 次の(一)から(三)までの規定に該当する文書の記載金額については、それぞれ(一)から(三)までに定めるところによる。
(一) 当該文書に記載されている単価及び数量、記号その他によりその契約金額等の計算をすることができるときは、その計算により算出した金額を当該文書の記載金額とする。
外部の「見積書・注文書」等の引用(第1号・第2号文書特例:通則4ホ⑵)
第1号文書(不動産譲渡等)や第2号文書(請負)において、その契約書本体には金額が書いていなくても、契約の基礎となった「見積書」「注文書」「仕様書」(課税文書に該当しないものに限る)の名称、発行日、番号、記号などが引用・特定されている場合は、当事者間で明らかである金額、またはそれらの記載に基づいて算出された金額がその契約書の記載金額となります。
具体例
- 工事注文請書(第2号文書)に「請負金額は、貴社注文書第○○号(※金額500万円と記載されているもの)のとおりお請けします」と記載されている場合
➡ 引用された注文書の金額である500万円がこの注文請書の記載金額となります
▽法別表第一 課税物件表の適用に関する通則4ホ⑵(※【 】は管理人注)
(二) 第一号又は第二号に掲げる文書に当該文書に係る契約についての契約金額又は単価、数量、記号その他の記載のある見積書、注文書その他これらに類する文書(この表【=課税物件表】に掲げる文書を除く。)の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該契約についての契約金額が明らかであるとき又は当該契約についての契約金額の計算をすることができるときは、当該明らかである契約金額又は当該計算により算出した契約金額を当該第一号又は第二号に掲げる文書の記載金額とする。
外部の「支払通知書・請求書」等の引用(第17号文書特例:通則4ホ⑶)
売上代金として受け取る受取書(領収書等)において、直接金額を記載しなくても、受け取った有価証券(小切手・手形)の記号・番号が書かれている場合、または金額が明記された「請求書」「支払通知書」の名称、発行日、番号等が引用されている場合は、後日において明らかにできるその有価証券の金額や請求書に記載された金額が、その受取書の記載金額になります。
具体例
- 領収書に「本日、請求書No.123(※請求額300万円)の金額正に受領いたしました」とだけ記載されている場合
➡ 請求書に記載された金額である300万円がその領収書の記載金額(17号の1)となります
▽法別表第一 課税物件表の適用に関する通則4ホ⑶
(三) 第十七号に掲げる文書のうち売上代金として受け取る有価証券の受取書に当該有価証券の発行者の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があること、又は同号に掲げる文書のうち売上代金として受け取る金銭若しくは有価証券の受取書に当該売上代金に係る受取金額の記載のある支払通知書、請求書その他これらに類する文書の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該売上代金に係る受取金額が明らかであるときは、当該明らかである受取金額を当該受取書の記載金額とする。
特殊な金額表示における計算基準
実際の取引や契約書では、確定した金額以外のさまざまな表現が用いられることがあり、それぞれに対して以下のように記載金額が算定されます。
① 予定金額・概算金額
「予定金額250万円」「概算金額250万円」「約250万円」などと記載されている場合は、その予定・概算として記載されている金額(250万円)がそのまま記載金額となります。
▽基本通達26条1号
(予定金額等が記載されている文書の記載金額)
第26条 予定金額等が記載されている文書の記載金額の計算は、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。
⑴ 記載された契約金額等が予定金額又は概算金額である場合 予定金額又は概算金額
(例)
予定金額 250万円 250万円
概算金額 250万円 250万円
約250万円 250万円
② 最低金額または最高金額のいずれか一方が記載されている場合
これらの場合、
- 「最低金額50万円」「50万円以上」とある場合 ➡ その最低金額(50万円)
- 「50万円超」とある場合 ➡ 50万1円
- 「最高金額100万円」「100万円以下」とある場合 ➡ その最高金額(100万円)
- 「100万円未満」とある場合 ➡ 99万9,999円
が記載金額になります。
契約書では「上限額」といった表現が使われる場合もありますが、上記の「最高金額」の扱いになります
▽基本通達26条2号
⑵ 記載された契約金額等が最低金額又は最高金額である場合 最低金額又は最高金額
(例)
最低金額50万円 50万円
50万円以上 50万円
50万円超 50万1円
最高金額100万円 100万円
100万円以下 100万円
100万円未満 99万9,999円
③ 最低金額と最高金額の両方が記載されている場合
「50万円から100万円まで」「50万円を超え100万円以下」など、レンジで金額が記載されている場合は、最低金額の方が記載金額となります。
具体例
- 「50万円から100万円まで」の場合 ➡ 記載金額は50万円となります
- 「50万円を超え100万円以下」の場合 ➡ 記載金額は50万1円となります
▽基本通達26条3号
⑶ 記載された契約金額等が最低金額と最高金額である場合 最低金額
(例)
50万円から100万円まで 50万円
50万円を超え100万円以下 50万1円
④ 単価や数量等が予定・最低・最高・範囲となっており計算を要する場合
単価と数量を掛け合わせて金額を算出する際、それらの要素が不確定な場合は、上記①〜③のルールを掛け算した結果の金額にそれぞれ準用して算定します。
具体例
- 予定×予定:「予定単価1万円、予定数量100個」
➡ 1万円×100個=予定金額100万円 ➡ 記載金額は 100万円 - 予定×最低:「予定単価1万円、最低数量100個」
➡ 1万円×100個=最低金額100万円 ➡ 記載金額は 100万円 - 単価×範囲:「単価1万円、数量50個〜100個」
➡ 最低金額50万円・最高金額100万円となり、低い方が適用されるため、記載金額は 50万円となります
要するに、単価と数量の掛け算で、どちらかが予定になっている場合も、上記①〜③のルールをそのまま準用すればよいということです
▽基本通達26条4号
⑷ 記載されている単価及び数量、記号その他によりその記載金額が計算できる場合において、その単価及び数量等が、予定単価又は予定数量等となっているとき ⑴から⑶までの規定を準用して算出した金額
(例)
予定単価1万円、予定数量100個 100万円
概算単価1万円、概算数量100個 100万円
予定単価1万円、最低数量100個 100万円最高単価1万円、最高数量100個 100万円
単価1万円で50個から100個まで 50万円
⑤ 契約の一部についての金額のみが記載されている場合
契約書全体のうち、一部の金額のみが具体的に記載されている場合は、その記載されている一部の金額のみが記載金額となります。
具体例
- 「A工事100万円。ただし、その他の附帯工事については実費による」と記載された請負契約書
➡ 記載金額は確定している100万円となります
▽基本通達27条
(契約の一部についての契約金額が記載されている契約書の記載金額)
第27条 契約書に、その契約の一部についての契約金額のみが記載されている場合には、当該金額を記載金額とする。
(例) 請負契約書に、「A工事100万円。ただし、附帯工事については実費による。」と記載したもの
(第2号文書)100万円
⑥ 「無償」または「0円」と記載されている場合
契約書等に「無償」または「0円」と明記されている場合、印紙税法上は記載金額に該当しない(記載金額のない文書)として取り扱われます。
▽基本通達35条
(無償等と記載されたものの取扱い)
第35条 契約書等に「無償」又は「0円」と記載されている場合の当該「無償」又は「0円」は、当該契約書等の記載金額に該当しないものとする。
⑦ 手付金または内入金
契約書に「手付金50万円」「内入金100万円」といった金額のみが記載されており、全体の契約金額(取引総額)の記載がない場合、手付金や内入金は契約の成立等に関し直接証明の目的となっている金額(契約金額)ではないため、契約書の記載金額としては該当しない(=記載金額のない契約書)として扱われます。
ただし、その契約書に「100万円を超える手付金(内入金)を受け取った」という領収(受領)の事実までが併せて記載されている場合は、その契約書は通則3のイまたはハの規定により、第17号の1文書(売上代金受取書)に該当することになるため、印紙の貼り忘れに十分注意する必要があります(基本通達28条)。
▽基本通達28条
(手付金額又は内入金額が記載されている契約書の記載金額)
第28条 契約書に記載された金額であっても、契約金額とは認められない金額、例えば手付金額又は内入金額は、記載金額に該当しないものとして取り扱う。
なお、契約書に100万円を超える手付金額又は内入金額の受領事実が記載されている場合には、当該文書は、通則3のイ又はハのただし書の規定によって第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)に該当するものがあることに留意する。(平元間消3-15改正)
継続的取引(月単位等)の計算基準
エレベーター保守契約やビルの清掃請負契約のように、期間にわたって月額料金などを定める契約書の計算ルールです。
▽基本通達29条
(月単位等で契約金額を定めている契約書の記載金額)
第29条 月単位等で金額を定めている契約書で、契約期間の記載があるものは当該金額に契約期間の月数等を乗じて算出した金額を記載金額とし、契約期間の記載のないものは記載金額がないものとして取り扱う。
なお、契約期間の更新の定めがあるものについては、更新前の期間のみを算出の根基とし、更新後の期間は含まないものとする。
(例)ビル清掃請負契約書において、「清掃料は月10万円、契約期間は1年とするが、当事者異議なきときは更に1年延長する。」と記載したもの 記載金額120万円(10万円×12月)の第2号文書
「契約期間」の記載がある場合
月単位等で定められた金額(月額)に、契約書に記載されている契約期間の月数を掛け合わせて算出した総額が記載金額となります。
具体例
- 「清掃料は月額10万円、契約期間は1年間(12ヶ月)」と記載されている場合
➡ 10万円 × 12ヶ月 = 120万円の記載金額(第2号文書)となります
「契約期間」の記載がない場合
月額などの単価の定めはあっても、契約期間が一切書かれていない場合(「いつでも解約の申し出ができる」などの定めのみがある場合)は、総額の計算ができないため、記載金額がないものとして扱われます。
この場合、3か月を超える基本条件の合意であれば、最終的に第7号文書(継続的取引:4,000円)に所属が決定することになります。
契約金額を変更する契約書(変更契約書)の計算(通則4ニ)
一度締結した契約の金額を増額または減額する変更契約書(覚書や修正合意書等)を作成する場合、記載金額は変更前の契約書(原契約書)が特定できるかどうかによって、計算方法が変わります。
根拠規定は以下の通則4の二になりますが、基本通達でルールが細かく補充されています。
▽法別表第一 課税物件表の適用に関する通則4二
ニ 契約金額等の変更の事実を証すべき文書について、当該文書に係る契約についての変更前の契約金額等の記載のある文書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更の事実を証すべき文書により変更金額(変更前の契約金額等と変更後の契約金額等の差額に相当する金額をいう。以下同じ。)が記載されている場合(変更前の契約金額等と変更後の契約金額等が記載されていることにより変更金額を明らかにすることができる場合を含む。)には、当該変更金額が変更前の契約金額等を増加させるものであるときは、当該変更金額を当該文書の記載金額とし、当該変更金額が変更前の契約金額等を減少させるものであるときは、当該文書の記載金額の記載はないものとする。
A: 変更前の契約書(原契約書)が作成されていることが「明らか」な場合
変更契約書に、原契約書の名称、契約年月日、文書番号などが記載されており、変更前の契約書が特定できる場合に適用されます。
▽基本通達30条2項なお書き
なお、通則4のニに規定する「当該文書に係る契約についての変更前の契約金額等の記載のある文書が作成されていることが明らかであり」とは、契約金額等の変更の事実を証すべき文書(以下「変更契約書」という。)に変更前の契約金額等を証明した文書(以下「変更前契約書」という。)の名称、文書番号又は契約年月日等変更前契約書を特定できる事項の記載があること又は変更前契約書と変更契約書とが一体として保管されていること等により、変更前契約書が作成されていることが明らかな場合をいう。(平元間消3-15追加)
契約金額を「増加」させる場合(通則4ニ)
原契約の金額から増加する差額分(増額分)のみが変更契約書の記載金額となります。
具体例
- 原契約2億円の工事請負契約を変更し、「2,000万円増額する」または「2億2,000万円に変更する」と合意した場合
➡ 記載金額は増額分の2,000万円(第2号文書)となります
契約金額を「減少」させる場合(通則4ニ)
契約金額を減額(減少)させる変更契約書は、法律上、記載金額がないものとして取り扱われます。
具体例
- 原契約1,000万円の売買契約を変更し、「100万円減額する」または「900万円に減額する」と合意した場合
➡ 記載金額のない文書として最低税率(200円)が適用されます
▽基本通達30条2項(※【 】は管理人注)
2 契約金額を変更する契約書のうち、通則4のニの規定が適用される文書【=変更前の契約書が明らかな場合】の記載金額は、それぞれ次のようになるのであるから留意する。
…(中略)…
⑴ 契約金額を増加させるものは、当該契約書により増加する金額が記載金額となる。
(例)土地の売買契約の変更契約書において、当初の売買金額1,000万円を100万円増額すると記載したもの又は当初の売買金額1,000万円を1,100万円に増額すると記載したもの (第1号文書)100万円
⑵ 契約金額を減少させるものは、記載金額のないものとなる。
(例)土地の売買契約の変更契約書において、当初の売買金額1,000万円を100万円減額すると記載したもの又は当初の売買金額1,100万円を1,000万円に減額すると記載したもの (第1号文書)記載金額なし
(注)変更前契約書の名称等が記載されている文書であっても、変更前契約書が現実に作成されていない場合は、第1項の規定が適用されるのであるから留意する。
B: 変更前の契約書が作成されていることが「明らかでない」場合
変更前の契約を特定できる記載がない、あるいはそもそも口頭契約などで変更前契約書が作成されていない場合です。
変更後の金額の記載がある場合
増額・減額にかかわらず、変更後の新たな契約金額がそのまま記載金額となります。
具体例
- 当初1,000万円を「1,100万円(または900万円)に変更する」とだけ書かれており、原契約書を特定できない場合
➡ 記載金額は1,100万円(または900万円)となります
変更金額(差額)のみの記載がある場合
増額・減額にかかわらず、その変更金額(差額)そのものが記載金額となります。
具体例
- 「当初の売買金額を100万円増額(または減額)する」とだけ書かれており、原契約書を特定できない場合
➡ 記載金額は増額・減額のいずれも100万円となります
▽基本通達30条1項(※【 】は管理人注)
(契約金額を変更する契約書の記載金額)
第30条 契約金額を変更する契約書(次項に該当するもの【=変更前の契約書が明らかな場合】を除く。)については、変更後の金額が記載されている場合(当初の契約金額と変更金額の双方が記載されていること等により、変更後の金額が算出できる場合を含む。)は当該変更後の金額を、変更金額のみが記載されている場合は当該変更金額をそれぞれ記載金額とする。(平元間消3-15改正)
(例)土地売買契約変更契約書において
1 当初の売買金額100万円を10万円増額(又は減額)すると記載したもの(第1号文書) 110万円(又は90万円)
2 当初の売買金額を10万円増額(又は減額)すると記載したもの(第1号文書) 10万円
C: 同一号中の「内訳金額のみ」を変更・補充する場合(基通31条)
原契約の契約総額は全く変わらず、単にその内訳金額(例えば「A工事200万、B工事100万」を「A工事100万、B工事200万」に変更する)を変更・補充するだけの契約書は、記載金額に該当しない(記載金額のない契約書:最低税率200円)として扱われます。
▽基本通達31条
(内訳金額を変更又は補充する場合の記載金額)
第31条 契約金額の内訳を変更又は補充する契約書のうち、原契約書の契約金額と総金額が同一であり、かつ、単に同一号中の内訳金額を変更又は補充するにすぎない場合の当該内訳金額は、記載金額に該当しないものとする。
なお、この場合であっても、当該変更又は補充契約書は、記載金額のない契約書として課税になるのであるから留意する。
(例)工事請負変更契約書において、当初の請負金額A工事200万円、B工事100万円をA工事100万円、B工事200万円に変更すると記載したもの 記載金額のない第2号文書
税額控除と外国通貨の特例
消費税額等の区分記載(1号・2号・17号文書の特例)
不動産譲渡(1号)、請負(2号)、受取書(17号)の3つの文書に限り、消費税額等が区分して記載されている場合、または税込・税抜が両方記載されていることで消費税額等が容易に計算できる場合は、消費税額等を除いた(税抜きの)金額を記載金額として判定することができます。
具体例
- OKな記載例:
- 「請負金額5,500,000円(うち消費税等500,000円)」
- 「請負金額5,500,000円(税抜金額5,000,000円)」
➡ これらはすべて、消費税等を除いた500万円が記載金額となります。
- NGな記載例:
- 「請負金額5,500,000円(消費税等込み)」
➡ 具体的な消費税額の「数字」が明記されていないため、税抜きの適用を受けることができず、550万円全体が記載金額となります
- 「請負金額5,500,000円(消費税等込み)」
この特例は、手形(3号)や債権譲渡(15号)には適用されず、常に消費税込みの金額が記載金額となりますのでご注意ください(手形は金額を2つ書くことができないなどの性質があるためです)
▽消費税額等取扱通達1
1 契約書等の記載金額
印紙税法(昭和42年法律第23号。以下「法」という。)別表第1の課税物件表の課税物件欄に掲げる文書のうち、次の文書に消費税及び地方消費税の金額(以下「消費税額等」という。)が区分記載されている場合又は税込価格及び税抜価格が記載されていることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかである場合には、消費税額等は記載金額(法別表第1の課税物件表の適用に関する通則4に規定する記載金額をいう。以下同じ。)に含めないものとする。(平16課消3-5、平26課消3-1、令和課消4-55改正)
⑴ 第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)
⑵ 第2号文書(請負に関する契約書)
⑶ 第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)
(注)
1 「消費税額等が区分記載されている」とは、その取引に当たって課されるべき消費税額等が具体的に記載されていることをいい、次のいずれもこれに該当することに留意する。
イ 請負金額1,100万円 税抜価格1,000万円 消費税額等100万円
ロ 請負金額1,100万円 うち消費税額等100万円
ハ 請負金額1,000万円 消費税額等100万円 計1,100万円
2 「税込価格及び税抜価格が記載されていることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかである」とは、その取引に係る消費税額等を含む金額と消費税額等を含まない金額の両方を具体的に記載していることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が容易に計算できることをいい、次の場合がこれに該当することに留意する。
請負金額1,100万円 税抜価格1,000万円
源泉徴収・特別徴収にかかる税金額の控除(基通32条)
源泉徴収義務者や特別徴収義務者が作成する配当金領収証(16号)や受取書(17号)等において、その記載金額の中に源泉徴収・特別徴収される税金額が含まれており、かつその税金額が文書上に記載されている場合は、全体の金額からその税金額を控除した後の残額を記載金額とします。
▽基本通達32条
(税金額が記載されている文書の記載金額)
第32条 源泉徴収義務者又は特別徴収義務者が作成する受取書等の記載金額のうちに、源泉徴収又は特別徴収に係る税金額を含む場合において、当額税金額が記載されているときは、全体の記載金額から当該税金額を控除したのちの金額を記載金額とする。(平元間消3-15改正)
外国通貨により表示されている場合(通則4へ)
契約金額や受取金額が米ドルやユーロなどの外国通貨で表示されている場合は、その文書を作成した日における、財務大臣が定めた基準外国為替相場または裁定外国為替相場により本邦通貨(日本円)に換算した金額が記載金額となります。
外為相場は日々変動しますが、印紙税法では、作成日の属する月において適用される公示為替相場(日本銀行のホームページ等で確認可能)を用いて日本円へ換算するということです
▷基準外国為替相場及び裁定外国為替相場一覧|日本銀行HP
▽法別表第一 課税物件表の適用に関する通則4へ
ヘ 当該文書の記載金額が外国通貨により表示されている場合には、当該文書を作成した日における外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第七条第一項(外国為替相場)の規定により財務大臣が定めた基準外国為替相場又は裁定外国為替相場により当該記載金額を本邦通貨に換算した金額を当該文書についての記載金額とする。
▽基本通達24条10号
⑽ 記載金額が外国通貨により表示されている場合 文書作成時の本邦通貸に換算した金額
(例)債権売買契約書
A債権米貨10,000ドル(第15号文書) 130万円
(注)米貨(ドル)は基準外国為替相場により、その他の外国通貨は裁定外国為替相場により、それぞれ本邦通貨に換算する。
結び
実務で金額の書かれた文書を扱う際は、以下のようなポイントを踏まえつつ、印紙税法における記載金額を確定させます。
記載金額の計算ルールのポイント
- 何号文書か判定する(その号に金額による段階税率や非課税枠があるかチェック)
- 文書内または引用された見積書等から、金額が計算できるか確認する
- 金額の内訳に消費税等や源泉税等が分離して書かれているかチェックし、引けるものは引く
- 「予定金額」「最低・最高金額」「月額×期間」「変更契約(差額)」などの特殊なルールに当てはめて、最終金額を算出する
- もし日本円以外なら、作成日の為替相場で円換算する
これらのポイントを押さえることで、貼り間違いやペナルティ(過怠税)のリスクを減らすことができます。
今回は、印紙税法ということで、記載金額の計算について見てみました。
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主要法令等・参考文献
主要法令等
- 印紙税法(「印紙税法」)
- 施行令(「印紙税法施行令」)
- 施行規則(「印紙税法施行規則」)
- 基本通達(「印紙税法基本通達」)
- 質疑応答事例:印紙税目次一覧
参考資料
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