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法務の仕事ってどんなの?|全体像を7つの分類で見てみる

法務の仕事はだいたい7つに分類できる,と思う。

もちろん私分類にすぎず,私論である(だからブログで書いてるわけだが)。いくつか本を読んだり,仕事したりした中での自分の整理。という前提で,以下。

法務部でやっている業務は,ざっくり二分できる。ひとつは「訟務」,もうひとつは「法務」。前者の「訟務」は,紛争処理や訴訟管理で,いわゆる臨床法務である。後者の「法務」は,コンプライアンス等々のいろいろな法律事務で,いわゆる予防法務である。

そして,後者の「法務」を整理すると,

1.契約法務

2.コンプライアンス

3.コーポレート

4.労務管理

5.債権管理

6.情報管理

7.企業防衛

の7つで,だいたいのことはこのどれかに入るのではないかと思う。以下、少し肉付けして書きたい。

1.契約法務

これはいわずもがなというか,契約書もそうだが,各種書式を整えるとか,約款を整備修正するなども含む。作成,チェック依頼に対する審査や,相手方との文言調整(争い)。

2.コンプライアンス

これは,範囲のわかりにくい言葉だが,典型的なのは業法かと思う。許認可取得と維持,行為規制を遵守するようにするための業務関連規程やマニュアルの整備。内部監査とも連動するかと思う。独禁法,景表法,下請法等もこのカテゴリかなと。コンプライアンス・マニュアルの整備,内部通報制度の整備等もこのカテゴリ。資格者法(建築士法,宅建業法の取引士にかかる部分,医師法など)もこの一種だと思う。

3.コーポレート

これは,会社法などの組織法(←ここでは組織の根拠法という位の意味)。株式実務,総会や取締役会などの会議体運営,ファイナンスする場合は財務との連携もある。法人の設立とか組織再編もこのカテゴリ。コーポレートと書いているが,要は組織の根拠法なので,会社法だけではなく,一般社団法人法とか,投信法とか,宗教法人法とか,そういった法律もこのカテゴリ。(法律によっては業法的規制を含んでいるものもあり,2.とまたがる法律もある。)

4.人事労務関係

これは,大きい会社では法務部や総務部ではなく,人事部が所管しているところが多いと思う。給与計算などの事務というよりは,時間管理,人事労務関連の社内規程の整備,就業規則や協定の労基署への届出など。あるいは不祥事があったときの懲罰権行使の問題もこのカテゴリの話かと思う。

5.情報管理

これは,コンプライアンスの一種ともいえると思うのだが,ひとつのグループをなしているといってよいほど量が多い。重要性も近時増す一方。秘密情報管理,個人情報管理,最近ではマイナンバーなど。

6.債権管理

これは,いわゆる債権保全と回収の話だが,事業会社でいうと,顧客や関連業者の破産や,テナントビルの貸主の破産,といった事態への対応も含む。

7.企業防衛

これは,反社会的勢力対応の体制整備,誹謗中傷や風評からの防衛・モニタリングといった業務がここに入るイメージ。

上記のうち,1と2は業界によって特色が出やすい要素で,3~7は比較的どの業界にも共通する要素,かと思う。また,全部が法務部で担当されているわけではなく,業務分担は企業によって異なる。

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