下請法

下請法を勉強しよう|支払期日規制にまつわる論点

今回は、下請法を勉強しようということで、支払期日規制にまつわる論点を見てみたいと思います。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

支払期日規制

下請法は、下請代金の支払期日について、親事業者が商品の受領日(サービスの場合は役務提供日)から起算して60日以内で、かつ、できるだけ短い期間内になるように定めることを義務づけています(支払期日を定める義務/法2条の2第1項)。

また、現実には支払期日を定める義務に違反しているケースもあり得ますので、そのような場合には、支払期日が法定されます(支払期日の法定/同条2項)。

支払期日を定める義務+支払期日の法定のことを、本記事では支払期日規制といいます

まとめると、以下のようになっています。

【支払期日の定まり方】

  • 受領日から起算して60日以内に支払期日を定めた場合
    →その定められた支払期日
  • 支払期日を定めなかったとき
    →受領日
  • 受領日から起算して60日を超えて支払期日を定めたとき
    →受領日から起算して60日を経過した日の前日

    ※「受領日」=下請事業者から物品等又は情報成果物を受領した日。役務提供委託の場合は、下請事業者が役務を提供した日

支払期日規制については、以下の関連記事にくわしく書いています。

本記事では、支払期日の起算日/期間/支払期日に関する論点を、順に見てみます。

支払期日規制にまつわる論点

起算日にまつわる論点-「受領日」の考え方

支払期日規制にまつわる論点で重要なのは、起算日にまつわる論点です。

ざっくりいうと、起算日は、給付を受領した日(受領日)です。役務提供委託では、役務の提供日がこれにあたります(役務には受領という概念がないため)。

▽下請法2条の2第1項

(下請代金の支払期日)
第二条の二
 下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。

物品等の製造委託・修理委託の場合

物品等の製造委託・修理委託における受領日とは、検査の有無とは関係なく、親事業者が、物品を受け取り、自己の占有下に置いた日のことです。

検査の有無とは関係なく・・・・・・・・・・・というのは、受領後に検査をする場合がありますが、そのときに起算日は単なる受領日になるのか検査の完了日になるのか?というと、単なる受領日が起算日になるということです

親事業者の検査員が下請事業者の工場へ出張し検査を行うような場合には、検査員が出張して検査を開始すれば受領となります。

▽講習会テキスト〔R5.11版〕1-⑸-イ

 製造委託又は修理委託における「給付の受領」とは、下請事業者の給付の目的物を検査の有無にかかわらず受け取り、自己の占有下に置くことである。親事業者の検査員が下請事業者の工場へ出張し検査を行うような場合には、検査員が出張して検査を開始すれば受領となる

倉庫預託方式や消化仕入取引に関して、下請法運用基準や講習会テキストでは以下のような解説があります。

倉庫預託方式(親事業者が下請事業者に対し、親事業者の指定する倉庫に製造委託部品を預託させ、親事業者は当該部品を倉庫から出庫し、使用する方式)に関しては、「出庫日」という特定されない日から60日以内の期間を支払期日とするものであり、支払期日も特定されないこととなります。

そのため、支払期日を定めたものとは認められず、結果として「支払期日を定めなかったとき」として扱われ、受領日(=実際の預託日)が支払期日となります。

ただし、倉庫預託方式の場合は例外的な扱いが認められており、納期日前に預託された部品については、下請事業者が自ら占有していることとし、3条書面記載の納期日に、同記載の数量の部品の所有権が親事業者に移転することがあらかじめ書面で合意されている場合は、3条書面記載の納期日(ただし、親事業者が当該納期日前に出庫し使用した場合には、出庫日)を受領日=起算日として取り扱うとされています。

▽下請法運用基準 第4-2-⑵

⑵ 物品の製造委託において、下請事業者が親事業者の指定する倉庫に製造委託を受けた部品を預託し、親事業者は当該部品を倉庫から出庫し、使用する方式を採用することがある。このような方式の下では、下請事業者が、3条書面記載の受領日以前に、親事業者の指定する倉庫に製造委託を受けた部品を預託する場合には、預託された日が支払期日の起算日となる。しかし、例えば、下請事業者が倉庫に預託した部品のうち、3条書面記載の納期日前に預託された部品については、親事業者又は倉庫事業者を占有代理人として、下請事業者が自ら占有していることとし、3条書面記載の納期日に、同記載の数量の部品の所有権が親事業者に移転することがあらかじめ書面で合意されていれば、倉庫に預託した部品のうち、3条書面記載の受領日前の預託数量については、実際の預託日にかかわらず、3条書面記載の納期日(ただし、親事業者が当該納期日前に出庫し、使用した場合においては、出庫した日)に受領があったものとして取り扱い、「支払期日」の起算日とする(ただし、このような方式の下では、支払遅延のほか、受領拒否、買いたたき等の規定に抵触しないよう留意する必要がある。)。

消化仕入取引(親事業者が製造委託に係る商品を顧客に販売した時点で下請事業者から仕入れたものと扱う取引形態)に関しては、「顧客への販売日」という特定されない日から60日以内の期間を支払期日とするものであり、支払期日も特定されないこととなります。

そのため、支払期日を定めたものとは認められず、結果として「支払期日を定めなかったとき」として扱われ、受領日(=納品日)が支払期日となります。

▽講習会テキスト〔R5.11版〕1-⑷-イ【Q48】

 当社は、下請事業者に当社の店舗で販売する商品の製造を委託しているところ、「消化仕入」と称し、当社に納入された時点では受領とせず、一般消費者に当社が販売した時点をもって製造委託した物品を下請事業者から受領したこととし、当該受領したこととする日から起算して60日後に下請代金を支払う、又は当月末締翌月末払制度を採用すると合意した場合は、支払期日を定めたことになるのか。

 支払期日については、本法第2条の2第1項により、受領日から起算して60日以内の期間内に定めることとされている。本法上、納品させた時点で「受領」したこととなるところ、設問の場合、当該受領日とは別に「一般消費者に販売した日」という特定されない日を基準に、その60日後、又は翌月末日に支払うこととするものであり、支払期日も特定されないこととなるため、同項の支払期日を定める義務に違反することとなる。
 このように支払期日を定めなかった場合は、同条第2項により受領日が支払期日とみなされる。

情報成果物作成委託の場合

情報成果物作成委託における受領日とは、情報成果物を記録した電磁的記録媒体(CD-ROM等)を受け取り、自己の占有下に置いた日のことです。

ただ、記録媒体がない場合は、自己の支配下に置いた日であり、親事業者の用いる電子計算機内に記録された日になります。

▽講習会テキスト〔R5.11版〕1-⑸-イ

 情報成果物作成委託における「給付の受領」とは、給付の目的物として作成された情報成果物を記録したCD-ROM等の電子媒体を受け取り、自己の占有下に置くことである。また、情報成果物を記録した媒体がない場合には、当該情報成果物を自己の支配下に置くことであり、例えば、当該情報成果物を電子メール等により親事業者が受信して親事業者が使用するハードディスクに記録されることや、下請事業者が親事業者の事務所に常駐して情報成果物を作成し親事業者のハードディスクに記録することなどである。

ただし、情報成果物作成委託においては、例外的な支払期日の起算日(受領日)があります。

前述のように検査の有無は支払期日の起算日とは関係がないはずですが、情報成果物作成委託では、外形的には委託内容の確認ができないため、作成された内容の確認や今後の作業についての指示等を行うために、情報成果物を一時的に親事業者の支配下に置く必要がある場合があります。

そのため、情報成果物作成委託では、

  • 親事業者が情報成果物を一時的に支配下に置いた時点では、当該情報成果物が委託内容の水準に達し得るかどうか明らかではないこと
  • あらかじめ親事業者と下請事業者との間で、親事業者が自己の支配下に置いた当該情報成果物が一定の水準を満たしていることを確認した時点で、給付を受領したこととすること合意していること

という要件を満たす場合には、親事業者が情報成果物を自己の支配下に置いたとしても直ちに受領したものとは取り扱わず、一定の水準を満たしていることを確認した時点を受領日として、支払期日の起算日とすることができます。

ただ、3条書面に記載された納期日(「給付を受領する日」)において、情報成果物が親事業者の支配下にあれば、内容の確認が終わっているかどうかを問わず、その納期日に受領したものとされます。

▽下請法運用基準 第4-2-⑶(※【 】は管理人注)

⑶ また、情報成果物作成委託においては、親事業者が作成の過程で、委託内容の確認や今後の作業についての指示等を行うために、情報成果物を一時的に・・・・自己の支配下に置くことがある。【①】親事業者が情報成果物を支配下に置いた時点では、当該情報成果物が委託内容の水準に達し得るかどうか明らかではない場合において、【②】あらかじめ親事業者と下請事業者との間で、親事業者が支配下に置いた当該情報成果物が一定の水準を満たしていることを確認した時点で、給付を受領したこととすることを合意している場合には、当該情報成果物を支配下に置いたとしても直ちに「受領」したものとは取り扱わず、支配下に置いた日を「支払期日」の起算日とはしない。ただし、3条書面に明記された納期日において、親事業者の支配下にあれば、内容の確認が終わっているかどうかを問わず、当該期日に給付を受領したものとして、「支払期日」の起算日とする。

役務提供委託の場合

役務提供委託では、受領という概念がありません。そのため、支払期日の起算日を独自に観念していて、「役務の提供をした日」とされています(法2条の2)。

この役務提供日は、個々の役務の提供を受けた日のことです。

役務の提供に日数を要する場合(ex.A地点からB地点までの運送に2日間かかる場合など)には、一連の役務の提供が終了した日となります。

▽講習会テキスト〔R5.11版〕1-⑸-イ

 役務提供委託では受領という概念はなく、「支払期日」の起算日は、「下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日(役務提供に日数を要する場合は役務提供が終了した日)」である。

ただし、役務提供委託においても、例外的な支払期日の起算日があります。

個々の役務が連続して提供されるものである場合(ex.保守点検業務の委託など)には、個々の役務提供の完了を特定し難いため、例外的に、一定の要件の下で月単位の締切日を役務提供日とすることが認められています。

【連続して提供される役務の要件】

  • 月単位で設定される締切対象期間の末日までに提供した役務に対して下請代金が支払われることがあらかじめ合意され、3条書面に明記されていること
  • 3条書面において当該期間の下請代金の額(算定方法も可)が明記されていること
  • 下請事業者が連続して提供する役務が同種のものであること

例えば、8月1日から8月末日までの締切対象期間について、8月分の役務がまとめて8月末日に役務提供されたものとして、8月末日を役務提供日=起算日とし、そこから60日以内を支払期日とすることが認められるということです(つまり、”月末締め翌々月・・・払い”が可能)。ただ、あくまでも月単位であり、2か月分とか、3か月分は不可です。

普通、"月末締め翌々月払い"は、60日を超える部分が出てくるので不可能です(上記の例でたとえば8月1日分の役務は、原則的な考え方だと60日を軽々超えます)

▽下請法運用基準 第4-2-⑷

⑷ 役務提供委託にあっては、「支払期日」の起算日は、「下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日(役務提供に日数を要する場合は役務提供が終了した日)」であり、原則として、下請事業者が提供する個々の役務に対して・・・・・・・・・「支払期日」を設定する必要がある。⏎改行
ただし、個々の役務が連続して提供される役務であって、次の要件を満たすものについては、月単位で設定された締切対象期間の末日に当該役務が提供されたものとして取り扱う。
〇 下請代金の額の支払は、下請事業者と協議の上、月単位で設定される締切対象期間の末日までに提供した役務に対して行われることがあらかじめ合意され、その旨が3条書面に明記されていること。
〇 3条書面において当該期間の下請代金の額が明記されていること、又は下請代金の具体的な金額を定めることとなる算定方式(役務の種類・量当たりの単価があらかじめ定められている場合に限る。)が明記されていること。
〇 下請事業者が連続して提供する役務が同種のものであること。

やり直しをさせた場合

契約不適合など下請事業者の責めに帰すべき事由があり、下請代金の支払前にやり直しをさせる場合には、やり直しをさせた後の給付を受領した日が支払期日の起算日になります。

▽講習会テキスト〔R5.11版〕1-⑸-イ

 下請事業者の給付に瑕疵があるなど、下請事業者の責めに帰すべき理由があり、下請代金の支払前(受領後60日以内)にやり直しをさせる場合には、やり直しをさせた後の物品等又は情報成果物を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者が役務を提供した日)が支払期日の起算日となる(下請事業者の責めに帰すべき理由があるとして、親事業者が費用を負担することなく、やり直しをさせることができる場合については85ページ参照。)。

期間にまつわる論点-締切制度(60日以内=2か月以内)

下請代金は、下請事業者の給付の受領後60日以内に支払わなければなりませんが、継続的な取引において、毎月の特定日に下請代金を支払うこととする月単位の締切制度を採用している場合があります。

支払期日までの期間は、条文上、起算日から「60日以内」とされていますが(法2条の2)、このように月単位の締切制度にしている場合は、実際上、「2か月以内」と読み替えて運用されています。

例えば、「毎月末日納品締切、翌月末日支払」といった締切制度が考えられますが、月によっては31日の月(大の月)もあるため、月の初日に給付を受領したものの支払が、受領から61日目又は62日目の支払となる場合があり得ます。

このような場合、結果として給付の受領後60日以内に下請代金が支払われないことになりますが、「受領後60日以内」の規定は「受領後2か月以内」として運用され、大の月(31日)も小の月(30日)も同じく1か月として運用されており、支払遅延の禁止(法4条1項1号)の違反として問題とはされていません。

なお、月単位の締切制度のなかで、納品を締切にしているものを「納品・・締切制度」、検収(=検査の合格)を締切にしているものを「検収・・締切制度」といいます。

検収締切制度を採用する場合、検査に相当日数を要する場合がありますが、前述のとおり検査の有無と支払期日の起算点は関係がありませんので、検査に要する期間を見込んだ支払制度とする必要があります。

▽講習会テキスト〔R5.11版〕1-⑸-イ

 下請代金は、下請事業者の給付の受領後60日以内に支払わなければならないところ、継続的な取引において、毎月の特定日に下請代金を支払うこととする月単位の締切制度を採用している場合がある。
 例えば、「毎月末日納品締切、翌月末日支払」といった締切制度が考えられるが、月によっては31日の月(大の月)もあるため、当該締切制度によれば、月の初日に給付を受領したものの支払が、受領から61日目又は62日目の支払となる場合がある。このような場合、結果として給付の受領後60日以内に下請代金が支払われないこととなるが、本法の運用に当たっては、「受領後60日以内」の規定を「受領後2か月以内として運用しており、大の月(31日)も小の月(30日)も同じく1か月として運用しているため、支払遅延として問題とはしていない(後記「● 役務提供委託における例外的な支払期日の起算日」の場合も、同様に運用している。)。
 なお、検収締切制度を採用する場合、検査に相当日数を要する場合があるが、検査をするかどうかを問わず、受領日から60日以内において、かつ、できる限り短い期間内に設定した支払期日に下請代金を支払う必要があることから、検査に要する期間を見込んだ支払制度とする必要がある。

支払期日にまつわる論点-金融機関休業日の場合の順延

毎月の特定日に金融機関を利用して下請代金を支払う場合、支払日が金融機関の休業日にあたる場合があります。この場合、

  • 支払を順延する期間が2日以内である場合であって
  • 支払日を金融機関の翌営業日に順延することをあらかじめ書面で合意しているとき

は、結果として給付を受領した日から起算して60日を超えて下請代金が支払われても、問題とはされていません。

なお、順延後の支払期日が受領日から起算して60日(2か月)以内となる場合には、下請事業者との間であらかじめその旨書面で合意していれば、金融機関の休業日による順延期間が2日を超えても・・・・・・・問題とはされていません。

▽講習会テキスト〔R5.11版〕1-⑸-イ

 下請代金を毎月の特定日に金融機関を利用して支払うこととしている場合に、当該支払日が金融機関の休業日に当たることがある。このような場合、支払日が土曜日又は日曜日に当たるなど支払を順延する期間が2日以内である場合であって、親事業者と下請事業者との間で支払日を金融機関の翌営業日に順延することについてあらかじめ書面で合意している場合には、結果として受領日から60日(2か月)を超えて下請代金が支払われても問題とはしていない。
 なお、順延後の支払期日が受領日から起算して60日(2か月)以内となる場合には、下請事業者との間であらかじめその旨書面で合意していれば、金融機関の休業日による順延期間が2日を超えても問題とはしていない。

「受領」が出てくる箇所

以上のように「受領日」の考え方が特にややこしいですが、もうひとつ注意点は、支払期日規制の起算点である「受領日」は、実際日(=実際に受領した日)であるということです。

イメージづくりのために、下請法で「受領」が出てくる関連箇所をざっと見てみます。

親事業者には発注書面の交付義務がありますが(法3条1項)、その必要記載事項のひとつとして、受領日(役務の場合は提供日)があります。

ここでいう受領日というのは、受領の予定日です。つまりいわゆる納期のことです。

文言としては、「給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、下請事業者が委託を受けた役務を提供する期日(期間を定めて提供を委託するものにあっては、当該期間))」(3条書面規則1条1項2号)となっています

これは本記事の冒頭で見た部分ですが、親事業者には、受領日から60日以内に支払期日を定める義務があります(法2条の2第1項)。また、支払期日を定めなかった場合は受領日に、60日を超えて定めた場合には受領日から起算して60日を経過した日の前日に、支払期日が法定されます(同条2項)。

この受領日は予定日ではなく、実際日です。

文言としては、「給付を受領した日」「役務の提供をした日」(法2条の2)となっています=つまり過去形

また、親事業者は、下請事業者に責任がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むことは禁止されています(法4条1項1号)。

ここで言っているのは、予定・・の受領日(いわゆる納期。3条書面で記載した受領日)に、実際・・の受領を拒否してはならないということです。

このように、支払期日の起算日である「受領日」は実際の受領日のことなので、支払期日を定める義務というのは、

下請代金の支払期日について、親事業者は、商品の受領日(サービスの場合は役務提供日)から起算して60日以内で、かつ、できるだけ短い期間内になるように定める義務がある

というニュアンスになります。

納期前の納品

 納期前の納品については、納期前の受取り義務はないので拒否しても受領拒否の禁止にはあたらない一方、受領する場合には、受領日が支払期日の起算日となります。

 そのため、受領する場合には、当初予定された支払期日を動かしたくないのであれば、「仮受領」として受け取る必要があるとされています。

▽講習会テキスト〔R5.11版〕 1-⑸-イ【Q54】

 納期前に下請事業者から納品された場合、検査を終了した時点を受領日(支払期日の起算日)としてよいか。

 原則として納品された時点が受領日となるが、下請事業者の要請に応じてあらかじめ定めた納期より前に納品を受けた物品について、これを仮受領として受け取った場合は、その時点を受領日とせずに、納期を受領日としても問題ない。また、納期より前に検査を実施した場合、検査を終了した時点を受領日としても問題ないが、検査中に納期が到来した場合には、納期が受領日となる。

結び

今回は、下請法を勉強しようということで、支払期日規制にまつわる論点について見てみました。

下請法に関する記事は、以下のページにまとめています。

▽下請法

下請法 - 法律ファンライフ
下請法 - 法律ファンライフ

houritsushoku.com

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

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