司法試験

旧司的ノウハウ④|法的三段論法

Photo by Thought Catalog on Unsplash

第4回。法的三段論法について。

旧司法試験のノウハウ

法的三段論法が何かというと、大前提小前提をあてはめて結論を出すというやつですよね。

大前提 人はいつか死ぬ
 ↓
小前提 私は人である
 ↓
結論  ゆえに私はいつか死ぬ

なぜかこの縁起の悪い例が多い(昔から不思議)が、このように大前提、小前提、結論の三段になっているから三段論法なわけです。

これを法律の文章において書くとき、大前提はルールという抽象論、小前提は事実という具体論になるわけです。

書き慣れない時期に多い誤りは、抽象論の理由付けに問題文の具体的事実が出てきてしまうことです。甲が可哀想だから、この文言につきこのように解すべきだ、というような論述です。抽象論は一般論として述べられるので、個別事案の事情が出てくるのは誤りだと思います。

頭の中で抽象論と具体論の切り分けができていないときに、この症状が起こります。ヒアリングで指摘されている「法令違憲と適用違憲の区別がついていない」というのも、要するに一般的な話と個別的な話の区別がついていないということの現われですから、結局同質の問題であるような気がします。

さて、以上の話を超正確に記した文章が刑事系のヒアリングにありますので、ちょっと加工して引用します。お口直しにどうぞ。

〔法律答案の基本的な構成〕by刑事系ヒアリング
① 法律上の問題点を発見し、確定し、
② その問題点に関わる条文、法規、あるいは法律家であれば誰でも思いつくであろう確立した判例法理についての解釈論を展開し、
③ 与えられた事実のあてはめを行い
④ 一定の結論に至る過程を論述する

①が問題提起、②~④が法的三段論法(②が大前提、③が小前提、④が結論)と考えてよいと思います。

新司法試験になって

新司法試験になっても、今までもそしてこれからも続く、法的文章の最も基本的な書き方です。

ただ!

ヒアリングが言うレベルで抽象論と事実の分析を両立させるなどということは、新司の問題文の量、時間の制約、の中では無理な注文だと思うんですよ。

常に問題提起→解釈論→あてはめ→結論の過程を経るフルスケールの論述は私にはできませんでした。ですので、当該事案との関係における重要論点についてのみこのフルスケールの論述をする、というふうに絞らざるを得ないと思います。

したがって、重要度の見極めが致命的に重要となります。

自分の筆力(何分で1枚書けるのか)、時間の制約など、現実問題と戦いながら練習と工夫を重ねる以外に磨く方法がないように思います。

問題提起のときにも書きましたが(旧司的ノウハウ①)、ここでも同じように、「正式な書き方を知ったうえで、現実の制約のなかで適宜省略する」という意識で私はやっていました。

実際の本試験で

これは基本ですし、ヒアリングでも再三言われていることですので、自分で重要と判断したところについては問題提起+法的三段論法で書きました。

ただ、やはり時間に追われ、目指したレベルまであてはめを充実させることはできず、やや旧司っぽいバランスとなってしまいました。

最近は「事実重視」の揺り戻しで、解釈論もちゃんと書きなさいみたいな風潮ですので、そんなに印象悪くなかったのかな・・・。まあそれはわかんないですね。

-司法試験