法律コラム

感覚でわかる民事訴訟法|”歴史的証明”って何やねん

Photo by João Silas on Unsplash

感覚でわかるシリーズ。

今回は、”歴史的証明”って何やねん?です。

民事訴訟法の勉強をしていると、「証明」概念の説明で、

「訴訟上の証明は、蓋然的な証明で満足するほかなく、いわゆる歴史的証明で足りる」

というような記述がありますよね。

最初に目にしたときには、歴史的証明って何やねんっ(*゚∀゚)っという感じですよね。管理人はそうでした。

これは要するに、訴訟上の証明というのは、現在ある痕跡から過去の事実を推認しているにすぎない、ということです。

だから、自然科学のような証明(数学の公式のような、1+1=2のような、かならず1対1で対応するような証明)ではない、絶対100%の証明というのはありえない、ということを言っているわけです。

どういうことかというと、考古学でやっているような思考と同じ思考でやっているってことです。

考古学ってまさに、現在も残っている痕跡(遺跡とか埋蔵物とか)から、過去の事実(歴史)がどうだったか、という推論を立てているわけですよね。だからいくつか説が分かれるわけで(邪馬台国の場所とか)、100%こうだったはずだ、という絶対の証明って無理なわけです。

でも、だいたいこうだっただろう、それでほぼ間違いなかろう、というのが、通説として採用され、教科書とかにものるんでしょう(たぶん)。

訴訟上の証明というのも、証拠を見て過去の事実を推認するわけですから、まさにこれと同じではないか、考古学の証明のようなものだ(=歴史学における証明、つまり歴史的証明)ということになるわけです。

考古学的証明、という言い方も確かあったはずです。(いま書籍を調べると、意外と見つかりませんでしたけど。どっかで見た記憶があるんですけどね。)

いわばどれも仮説ですから、必ず反証の余地が残されるけれども、高度の蓋然性が認められれば証明がされたと扱う、という話なわけですね。

というわけで、人間には、(神様の目から見て)他人が過去に体験した事実が何だったかは、永遠にわからないのだ、という深読みもできますね。

ドラマ「リーガル・ハイ」で古美門弁護士が言ったセリフ、「うぬぼれるな。我々は神ではない。ただの弁護士だ。真実が何だったのかなど、わかるはずがない」というセリフが思い出されますね。深いです。

以上、感覚でわかるシリーズでした。

[注記]
感覚でわかるシリーズは専門的・学術的正確さを目指したわけではないので、正確な理解については他の文献等を参照されるか、身近な専門家にご相談ください。

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