高校生の君へ

法学部を目指す高校生へ|進路の探し方

Photo by Giammarco Boscaro on Unsplash

最近、依頼者の息子さんが高校生で進路を考えている時期とのことで(法学部も視野に入れているとのこと)、お話を聞かせてやってくれないかとお願いがあり、自分の高校の後輩であったこともあって、OBとして少し時間をとって話をしてみました。

いまは法学部のほかにロースクールというのがあってね、とか、法律の仕事ってこんなのがあるよ、とか。

そのときあまり上手く話せなかったので(下記リンク記事参照)、このブログでリベンジというか、罪ほろぼしをしたいなと思います。

あまり法学部とは関係ないですが、まずは進路の探し方からだろうと思います。

高校生の頃の自分に教えてあげたかったと思うこと。

いきなり将来のことを決めなくてもいい

もちろん、自分の将来像がはじめからはっきり決まっているなら、それが一番いいと思います。

ですが、高校生の時分から将来像がはっきり決まっている人は、実際にはほとんどいないだろうと思います。

高校生までの学校教育で、自分に何が向いているのか、世の中にはこんな仕事があって、自分はそのなかでこんな仕事が好きそうだ、などと考えさせてくれる機会はほぼありません。

ピアノとか将棋とかで、幼少時から才能を発揮しプロを目指すことがはっきりしているとか、身近に優秀なプログラマがいて自分も将来はこの分野で起業するのだから、学校の勉強はそこそこでいいのだ、とか、ある種の特異な状況に恵まれた人以外は、明確な目的意識を持つきっかけが無いだろうと。

だから思い浮かばなくて無理もないわけなので、焦らなくていいと思います。

少なくとも管理人はそうでした。「つぶしがききそう」という理由で法学部を選択しました。

遠くにいるクジラ(夢)も近づくにつれ見えてくる

何の本で読んだか忘れたが、夢のたとえ話だったと思います。

クジラのように大きいものであっても、遠くにいる間はほとんど見えない。

でもそこにはきちんとある。

今は遠いだけで、一歩一歩近づいていくにつれて、徐々に輪郭がはっきりしてくる、という話でした。

これは自分の人生を振り返ってみてもそうだったような気がしますし、うまいたとえだなと思います。

管理人の場合は、こんな感じ。

法学部に入って法律の勉強をしてみる
(法律系の仕事や弁護士の仕事などはそんなに知らない)
  ↓
司法試験を受けてみて専門性の高い勉強をしてみる
(弁護士の仕事ってこんなだろうかという想像ができるようになる)
  ↓
合格後、司法修習という実務研修(管理人のときは1年間)をしてみる
(実際の仕事を見て胸を弾ませる)
  ↓
司法修習後、実際に仕事をしてみる
(徐々に実像がわかり、ときには吐きそうになる(笑))

だから、実際にやっているうちに少しずつ見えてくる、というのは間違いないと思います。

ただ。

上記の管理人のように、大学生の割にリサーチ不足だね、という状況はあるかと思います。

そのぐらいの年齢になれば、もう少し法律事務所の仕事がどんなか具体的に調べる機会はあるだろうに、何となく進んでしまっているというか。

つまり、高校生のときにどうするかより、大学生(or専門学校生)のときにどうするかの方がより重要、というのが管理人の個人的意見です。

この局面においては、自分がこの仕事を好きになれそうかを具体的に調べる、性分にあってなければ回避する、という判断をすることが大事です。年齢的にもそれができるようになっているはず。

「好き」のパーツを集める

冒頭の依頼者の息子さんの高校(管理人の母校)はなかなかシブいところで、今は修学旅行に選択コースが設けられており、どうもその息子さんは裁判所を見学したようでした(管理人の頃は選択コースなるものは無かったですが…)。

そこで見た「議論」に何か感じるものがあったらしく(どうやら特殊詐欺の否認事件だった模様)、法学部というのもいいかなと思ったそうです。また、安定志向なのでそこも合っているのでは、と。

重要なことを議論している感じ、にインスピレーションを受けた、ということですが、こういうものは大事にしていいと思います。偶然で片付けるのは勿体ないです。

議論している感じがワクワクしたなら、そこを手掛かりに、法律の世界でもいいし、他の世界でもいいし、とにかく「自分はどうもこういうものが好きそうだ」というパーツを、高校生のうちに集めて覚えておくとよいと思うわけです。

そしてそれを意識して進学し、大学生(or専門学校生)のときに、より具体化する。

そして卒業時には、ひとつのものに集約する。

こういった「段階を踏んでいく」という考え方の方が、現実的であるように思います(進路云々もありますが、高校生のうちに将来の夢を決めろというのはちょっと非現実的だなと)。

だから繰り返しになりますが、焦らなくていいと思います。

高校生の間は好きなパーツを集めて(時間がないなら思い出し)、大まかな方向性(なんとなくこの方向に自分の好きなものがありそうだ、という方向性)を見出して、それに沿う学部を選ぶ。

本番はその次。大学で具体的に考えること、です。

もしも大学で見出したやりたい仕事が自分の入った学部とズレていても、それで即アウトということにはなりません。例えば、農学部卒だけど、全然関係ない商社に行く人なんかも全然いたりします。

大学入学後に転部できる

ここから先は補足事項ですが、大学入学後に転部することもできます。

転部の可否や条件については大学によって異なるでしょうから、それは調べてもらえればと。

大学に入ったあと、「自分の学部は卒業後に何の仕事をするのかわからん」という理由で、法学部や経済学部に転部してくる人はぼちぼちいました。

こういうオプションもある、という話です。ただ、転部ありきで検討するのを勧めるわけではないです。

迷いに迷ったら、という話です。

文転は可能だが理転はムズい

これは上記の転部の話ではなく、人生が進んだ段階で大転換を図ろうとするときの話ですが、理系転向は事実上できないと思います(しんどすぎて)。

だから高校生のときの理系、文系の決定はやっぱり重要なんだろうなと(この点は周知の通りだろうと思うので、特に書きません)。

ちなみに、弁護士で高級ダブルライセンスになろうとするときも、

  • 医師になってから → 弁護士になる
  • 公認会計士になってから → 弁護士になる

というふうに、理系→文系の順序の方が、逆の順序に比べて容易であると思います。

前者で逆の順序は管理人は聞いたことがないし、後者で逆の順序は知っていますがそんなに多くはないかなと(後者は理系というわけではないですが)。

まあ、最後の2つ(転部と理転の話)は参考のお話です。

さて、高校生に参考になる話が出来たでしょうか…。

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