取適法務(分野別)

分野別取適法務|「トラック運送業ガイドライン」を解説~特定運送委託とトラック法が定めるルールなど

今回は、分野別取適法務ということで、物流取引における取引適正化について見てみたいと思います。

トラック運送業界の取引適正化を巡っては、従来の独占禁止法(優越的地位の濫用)や物流特殊指定に加え、新しく追加された取適法の特定運送委託、そして国土交通省が所管するトラック法(貨物自動車運送事業法)などが絡み合っています。

本記事では、トラック運送業界に特有の重要論点にスポットを当てて、どの法令に基づいているかなども整理しながらわかりやすく解説していきます。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

取適法:新設された特定運送委託

自社物流から外部への委託に切り替える際などに、まず直面するのがこの運送は取適法の対象(特定運送委託)になるのかという線引きです。

取適法上の特定運送委託とは、事業者が業として行う販売・製造・修理・作成の目的物(または情報成果物を記録・化体した物品)を、取引の相手方(または相手方が指定する者)に届けるための運送を委託することを指します。

ここには、運送実態に応じた対象外ルールが存在します。

特定運送委託の対象外となる典型例

自社拠点間の在庫移動(自社物流)

自社の工場から自社の別の物流センターへ在庫を移動させるための運送委託は、通常、取引の相手方に対する運送とはいえないため、原則として特定運送委託の対象外です。

ただし例外もあります。あらかじめ特定の顧客向けに仕分けされた商品を運送する経路の一部として自社拠点間を通過させる場合は、経路の一部の運送とされ対象(特定運送委託)になります。

引き取りを目的とする運送(逆送)

顧客から下取り品を引き取る運送、修理のために対象物を引き取る運送、納品後に通い容器(自社空容器)を回収する運送などは、すべて相手方に対する運送ではないため、原則として対象外です。

ただし一体契約に注意する必要があります。行き(納品)と帰り(引き取り)が一体不可分の1つの取引として発注されている場合は、契約全体が一体として取適法の対象となります。

原材料の無償支給を届ける運送

発注者が受注者に対して原材料を無償で支給する際の運送は、通常、販売における相手方への移動ではないため、原則として対象外です。

これに対して、有償支給の場合は、原材料の所有権が移転するため販売とされ、その支給材料の運送を他社に委託する場合は特定運送委託に該当します。

トラック法:運賃と料金の別建て収受と書面交付義務

これまで、トラック運送では口頭発注も行われてきましたが、これが法律によって禁止されました。 ここで主役となるのは、取適法だけでなく、トラック法(貨物自動車運送事業法12条・24条)です。

トラック法が命じる運賃・料金の別建て

トラック法(法12条・24条)に基づき、運送契約を締結する際には、以下の2つを別建て(区別)して書面に記載し、相互に交付する義務があります(トラック運送業ガイドライン8~9頁参照)。

  • 運送の役務の対価(いわゆる運賃):貨物の純粋な場所的移動に対する対価
  • 運送以外の役務の対価(いわゆる料金)
    • 積込料・取卸料(荷役作業の対価)
    • 待機時間料(荷主・着荷主の都合で待機させられた時間への対価)
    • 附帯業務料(仕分け、検品、棚入れ、ラベル貼り、はい作業などの実費)

【注意点】書面の併用(兼用)と保存期間

 取適法上の4条明示(発注内容の明示)と、トラック法上の契約書面は、両方の法定事項を満たす限り、1通の書面(メール含む)で併用して交付することが認められています。ただし、保存期間に違いがあります。

  • トラック法上の保存義務:1年間
  • 取適法上の保存義務:2年間(※7条記録の保存期間)

 したがって、これらを併用した書面は、2年間保存しなければ、取適法(法7条)の書類保存義務違反として50万円以下の罰金の対象となる可能性があります。

▽トラック運送業ガイドライン 第2章-6-⑵

○貨物自動車運送事業法の留意点
 貨物自動車運送事業法第12条において、荷主とトラック運送事業者は、運送契約を締結するときは、運送の役務の内容及びその対価等の法定事項を記載した書面(当該契約の相手方の承諾を得て、電磁的方法により提供することも可能。以下同じ。)を相互に交付しなければならない。
 また、貨物自動車運送事業法第24条において、トラック運送事業者が他のトラック運送事業に運送役務を再委託するときには、運送の役務の内容及びその対価等の法定事項(4条明示に記載した事項を除く。)を記載した書面を運送受託者に交付しなければならない。
 さらに、取適法と貨物自動車運送事業法の両方が適用される取引における書面交付義務については、両法に基づく法定事項が記載されている限りにおいて、1通の書面で併用することが可能であり、当該1通の書面の保存義務については、貨物自動車運送事業法に基づき、1年間保存する義務がある一方で、取適法に基づき、2年間保存する義務がある。
 なお、書面交付義務に罰則はないものの、貨物自動車運送事業者については貨物自動車運送事業法第33条に基づく行政処分の対象となる可能性がある。また、荷主についてもトラック・ 物流Gメンによる是正指導の対象となる可能性がある。

トラック法:多重下請けを透明化する実運送体制管理簿

トラック運送業界は、元請から下請、孫請けへと繋がる多重下請構造が温床となり、末端の実運送事業者に適正な運賃が届かない構造が長年指摘されてきました。

これを是正するために、トラック法(法24条の5)により実運送体制管理簿の作成・保存が新たに義務付けられました。

実運送体制管理簿とは

実運送体制管理簿の主な内容は以下のとおりです。

  • 作成義務者:真荷主から直接運送を引き受けた元請事業者(軽トラック事業者を除く)
  • 作成条件:真荷主から引き受けた1.5トン以上の貨物の運送について、その一部でも他の事業者を利用(利用運送・下請発注)した場合
  • 記載事項:実運送事業者の商号・名称、運送区間、貨物内容、および請負階層(何次請けか)
  • 保存期間:運送完了日から1年間、営業所に据え置くこと

各事業者に課される通知義務

元請会社が正確な管理簿を作るために、トラック法は下請構造に入っているすべての事業者に対して情報の通知義務を課しています。

  1. 元請事業者は、下請事業者へ発注する際、元請の連絡先や真荷主の名称を通知します
  2. 実際にトラックを走らせる実運送事業者は、自社の名称や実運送を行う区間・内容を、元請事業者に向けて遡って通知(報告)しなければなりません
  3. もし、途中の事業者がこの通知義務を怠り、元請事業者が管理簿を作成できなかった場合、通知を滞らせた事業者が行政処分の対象となります

取適法とトラック法:長時間の荷待ちと無償の附帯業務

トラックドライバーの過労運転や長時間労働の主原因とされる荷待ち(待機)無償の積み下ろし(荷役)に対しては、取適法とトラック法の双方が厳しい目を光らせています。

① 附帯業務(荷役作業等)の無償強要

契約に定めのない「荷積み」「荷下ろし」「ラベル貼り」などの附帯業務を、運転手に無償で行わせる行為は、取適法上の不当な経済上の利益の提供要請(法5条2項2号)として禁止されています。

附帯業務を行わせる場合は、あらかじめその作業内容と対価(料金)を十分協議して決定し、発注書面(4条書面)に別建てで明示して支払わなければなりません。

▽トラック運送業ガイドライン 第2章-4-⑵

  • ⑴ トラック運送業において問題となる具体的行為類型
    • 運送委託者は、運送受託者の運転手等に依頼し、契約で定められていない業務(発荷主・着荷主の倉庫内荷役、ピッキング、仕分け、清掃、検査・検収、ラベル貼り等)について、無償で実施させること(契約外の無償による附帯業務
    • 運送受託者に対し、当該運送受託者に委託した取引とは関係のない貨物の積み下ろし作業をさせること
  • ⑵ 関連法規の留意点
    • 物流特殊指定の留意点
      物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、特定荷主が、金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることにより、特定物流事業者の利益を不当に害することは、物流特殊指定第1項第6号に該当し、独占禁止法に違反するおそれがある。
    • 取適法の留意点
      取適法等の適用対象となる取引を行う場合、委託事業者が、自己のために中小受託事業者に対して無償の労務提供を強要することにより、中小受託事業者の利益を不当に害する行為は、取適法第5条第2項第2号の「不当な経済上の利益の提供要請」に該当し、取適法に違反する。
    • 貨物自動車運送事業法の留意点
      運送契約において、契約に定められていない役務を無償で要求することは、運転手の拘束時間の長時間化を招き、過労運転の原因となり、安全運行を阻害する行為になる。この結果、輸送の安全の確保を阻害することとなる場合には、貨物自動車運送事業法第15条や第21条の違反に該当するおそれがある。また、貨物自動車運送事業法附則第1条の2に基づく荷主等への是正指導の対象となりうることや、最終的には貨物自動車運送事業法第65条に基づく「荷主への勧告」を行うこともあり得る。

② 長時間の荷待ちに対する待機料未払い

荷主や着荷主の都合により、予定になかった長時間の待機(荷待ち)が発生したにもかかわらず、その待機時間に対する必要な費用(待機時間料)を負担しない行為は、取適法上の不当な給付内容の変更(法5条2項3号)として取り締まられます。

また、着荷主(届け先)の行動を縛る着荷主規制が始まります(改正物流特殊指定第2項。令和9年4月施行)。運送契約の関係者ではないはずの着荷主(納品先の大企業等)ですが、自社の倉庫の混雑や工程遅れなどを理由にトラックを不当に待機させ、かつその費用を実質的に負担しない場合、発荷主に対する不公正な取引方法(物流特殊指定違反)として、公正取引委員会による排除措置命令の対象となります。

【ポイント】輸送安全規則第8条の改正(令和7年4月施行)

 これまで、乗務日報への荷待ち・荷役時間の記録義務は大型車両等に限られていましたが、法改正によりすべての車両(全車)に義務付けが拡大されました。これにより、実運送事業者はすべての運行における荷待ちデータを出力・蓄積できるようになり、荷主に対して待機料や荷役料金を請求する客観的証拠を得られるようになっています。

▽トラック運送ガイドライン 第2章-5-⑶

※業務記録(乗務日報)における荷待ち・荷役時間等の記録について
 業務記録(乗務日報・運転日報)における荷待ち時間、荷役時間、附帯作業等の記録義務の対象となる車両の範囲について、従来は、「車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のトラック」としていたものを、令和7年4月1日以降は、全車両へと拡大した。(貨物自動車運送事業輸送安全規則第8条)
 この記録義務付け範囲の拡大により、実運送事業者はドライバーの荷待ち時間・荷役時間を記録することにより、待機時間料や積込料・取卸料などを荷主や元請事業者から適正に収受する根拠となる。

▽トラック運送業ガイドライン 第2章-3-⑵

  • ⑵ 関連法規の留意点
    • 特定荷主(委託事業者)は、特定物流事業者(中小受託事業者)が特定荷主(委託事業者)の指定した場所まで運送したところ、①特定荷主(委託事業者)の発注ミスにより物品を再び持ち帰ることになったにもかかわらず、当該運送に要した費用を支払わないこと、②発荷主・着荷主の庫内での作業など運送とは関係のない労務作業を必要な費用を支払わずに行わせること、③委託した物品の運送とともに、別の物品の運送を必要な費用を支払わずに行わせることなどがある。
    • 物流特殊指定の留意点
      物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、特定荷主が、特定物流事業者の運送等の内容を変更させ、又は運送等を行った後に運送等をやり直しさせることにより、特定物流事業者の利益を不当に害することは、物流特殊指定第1項第7号に該当し、独占禁止法に違反するおそれがある。
    • 取適法の留意点
      取適法の適用対象となる取引を行う場合、発注後に費用を負担せず貨物量や配送ルートの変更を行うことにより、中小受託事業者の利益を不当に害することは、取適法第5条第2項第3号の「不当な給付内容の変更及び不当なやり直し」に該当し、取適法に違反する。

▽トラック運送業ガイドライン 第2章-5-⑵⑶

  • ⑵ 関連法規の留意点
    • 特定荷主(委託事業者)が出発時刻を指定したにもかかわらず、特定荷主(委託事業者)の都合で積み込み時間が遅れた場合に、その荷待ち時間について必要な費用を負担しないことがある。
    • 物流特殊指定の留意点
      物流特殊指定の適用対象となる取引を行う場合、必要な費用を負担せずに当初の運送依頼の内容を変更させ、特定物流事業者の利益を不当に害することは、物流特殊指定第1項第7号に該当し、独占禁止法に違反するおそれがある。
    • 取適法の留意点
      取適法等の適用対象となる取引を行う場合、委託事業者がこのように必要な費用の負担をしない当初の運送依頼の内容変更は、取適法第5条第2項第3号の「不当な給付内容の変更及び不当なやり直し」に該当し、取適法に違反するおそれがある。
    • 貨物自動車運送事業法の留意点
      トラック運送事業者は、貨物自動車運送事業法第15条第4項において、「輸送の安全を確保するため、国土交通省令で定める事項を遵守しなければならない」とされており、トラック運送事業者自らが運行の安全の確保を図るべきであるが、荷主との連携・協力も重要である。
      また、トラック運送事業者たる運送委託者が自ら直接、運送受託者へ運行に関する指示を行うことにより、輸送の安全を阻害する行為がみられた場合、貨物自動車運送事業法第15条や第21条の違反に該当するおそれがある。このため、貨物自動車運送事業法附則第1条の2に基づく荷主等への是正指導の対象となりうることや、最終的には貨物自動車運送事業法第65条に基づく「荷主への勧告」を行うこともあり得る。
  • ⑶ 求められる取引慣行
    • 契約時に、見込まれる荷待ち時間を確認の上、待機時間料を設定しておくことが望ましい。
    • 実際の運送で生じた荷待ち時間を記録し、当初見込んでいたより長い荷待ち時間が恒常的に発生する場合には、実際に生じた時間の待機時間料を事後精算した上で、荷待ち時間削減対策について、運送委託者と協議することが望ましい。
      …(以下略)…

トラック法:燃料高騰を乗り切る燃料サーチャージ制

軽油価格の急激な変動分を、通常の基本運賃とは別建てで精算・上乗せする燃料サーチャージは、トラック運送業に特有の価格調整システムです。

トラック法上の手続があり、燃料サーチャージ制を導入、または内容を変更した場合は、運賃料金設定(変更)届出書を地方運輸支局長等へ速やかに提出する義務があります(トラック法10条等)。

導入の3大ルール(サーチャージガイドライン)

  • 基準価格の設定:精算のベースとなる軽油の基準価格(例:1リットルあたり〇〇円)を設定する
  • 車両燃費の明確化:車種ごとの平均燃費(例:1リットルあたり〇km)をあらかじめ把握・合意しておく
  • 計算式の合意[距離(km) ÷ 燃費(km/L) × 軽油の上昇差額(円/L)]などの算出方法を事前に取り決めて契約書(別建て)に明記する

トラック法:荷主勧告制度とトラック・物流Gメン

トラックドライバーに過労運転(改善基準告示違反)や過積載運行を強いるような構造を作っている荷主に対しては、行政による強力な措置が用意されています。

参考リンク

荷主勧告制度(トラック法65条)

トラック事業者が過積載や過労運転等の違反によって行政処分を受ける際、その違反が主として荷主の行為に起因すると認められる場合、国土交通大臣がその荷主に対して再発防止措置の勧告を行い、かつ、企業名(荷主名)を世間に広く公表する制度です。

▽トラック法65条

(荷主への勧告)
第六十五条
 国土交通大臣は、貨物自動車運送事業者が第十五条第一項から第四項まで(第三十五条第六項及び第三十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したことにより第二十二条(第三十五条第六項及び第三十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定による命令をする場合又は貨物自動車運送事業者が第三十三条第一号(第三十五条第六項及び第三十六条第二項において準用する場合を含む。)に該当したことにより第三十三条(第三十五条第六項及び第三十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定による処分をする場合において、当該命令又は処分に係る違反行為が荷主の指示に基づき行われたことが明らかであるときその他当該違反行為が主として荷主の行為に起因するものであると認められ、かつ、当該貨物自動車運送事業者に対する命令又は処分のみによっては当該違反行為の再発を防止することが困難であると認められるときは、当該荷主に対しても、当該違反行為の再発の防止を図るため適当な措置を執るべきことを勧告することができる
 国土交通大臣は、前項の規定による勧告をするときは、あらかじめ、当該勧告の対象となる荷主が行う事業を所管する大臣の意見を聴かなければならない。
 国土交通大臣は、第一項の規定による勧告をしたときは、その旨を公表するものとする。

▽トラック運送業ガイドライン 第3章-3

◆ 荷主が事業者に対する優越的な地位や継続的な取引等を利用して次のような行為を行ったことが事業者の法令違反行為につながった場合には、当該荷主に対して勧告を行う。
(荷主の主体的な関与の具体例)
非合理的な到着時刻の設定
(例)発着時刻や積込み取卸し時間、距離・運行経路等を勘案した結果、荷主の指示・意向により設定された到着時刻が、トラック事業者の法令違反行為によらなければ間に合わない時刻である場合。
やむを得ない遅延に対するペナルティの設定
(例)予想し得ない交通渋滞の発生等やむを得ない事情による運送の遅延に関し理由の如何を問わないペナルティが設定されていた場合。
積込み直前に貨物量を増やすような急な依頼
(例)過積載運行の原因が、積込み直前に荷主から貨物量を増やすよう急に指示され、過積載となることを認識しつつ荷主から取引解消を示唆されるなど断り切れなかったことによるものである場合。
荷待ち時間の恒常的な発生
(例)過労運転防止違反の原因が、荷主の管理下にある荷捌き場における荷待ち時間の恒常的な発生によるものであることが「荷待ち時間記録」等により確認され、かつ、トラック事業者から荷主に対し改善を要請しているにもかかわらず、社会通念上行われるべき改善措置が取られていない場合。
その他トラック事業者の法令違反行為の原因となる行為
上記(例)のほか、トラック事業者の法令違反行為が主として荷主の行為に起因するものであると認められる場合。

是正指導の対象となる荷主の悪質行為

国土交通省のトラック・物流Gメン等は、荷主や着荷主に対し、以下のような違反原因行為がある場合に、働きかけ、要請、勧告・公表といった是正指導を直接行います。

  • 非合理的な到着時刻の設定
    法的制限速度を守っていては物理的に絶対に間に合わない時間指定を行う行為
  • 遅延に対する一方的なペナルティ
    天災や突発的な渋滞など、ドライバーの責任ではない遅延に対して、一方的に料金をカットする行為
  • 異常気象時の運送強要
    台風、大雪、暴風雨等の天災により、運行管理者が「輸送中止」の適切な判断をして報告したにもかかわらず、荷主側が「どうしても今日中に運べ」と運行を強要する行為

▽トラック運送業ガイドライン 第3章-4

◆ 指針における違反原因行為の種別
長時間の荷待ち(1時間以上の荷待ち(荷待ちのみで把握していない場合は2時間以上の荷待ち・荷役等)が恒常的に発生している場合)
契約にない附帯業務(契約にない附帯業務であって、附帯業務の対価について合意がなされていない場合)
運賃・料金の不当な据置き(運賃・料金交渉を申し出たにもかかわらず正当な理由なく交渉に応じない場合や運賃・料金交渉において、根拠を示して交渉したにもかかわらず、貨物自動車運送事業者が求めた事項について必要な説明又は情報の提供を行わず運賃・料金の水準を据置く又は運賃・料金の水準を一方的に決定する場合)
過積載運送の指示・容認(荷主が過積載運送(過積載のおそれを含む。)となることを知りながら、積載の指示又は容認を行った場合)
異常気象時の運送依頼(異常気象時において、貨物自動車運送事業者又はその運行管理者が輸送の中止を判断し、荷主へその判断に至った理由等を報告したにもかかわらず、荷主に運送を強要された場合)
その他、無理な運送依頼(荷主からの指示又は非協力により、貨物自動車運送事業者が法又はこの法に基づく命令を遵守して事業を遂行することを困難にさせる行為であって、他の違反原因行為に該当しないもの)

◆ 是正指導の種別
働きかけ
 法附則第1条の2第2項に定める措置であって、荷主が違反原因行為をしている疑いがある場合において、貨物自動車運送事業者が法又はこの法に基づく命令を遵守して事業を遂行することができるよう荷主が配慮することの重要性について理解と協力を求め、違反原因行為の自主的な確認と改善を促すものをいう。
要請
 法附則第1条の2第3項に定める措置であって、荷主が違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認める場合において、当該荷主に対し、違反原因行為をしないように要請するものをいう。
勧告
 法附則第1条の2第4項に定める措置であって、②の要請を受けた荷主がなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認める場合において、当該荷主に対し、違反原因行為をしないように勧告するものをいう。

まとめ

トラック運送の適正取引の観点から、法令をざっと仕分けすると以下のとおりです。

論点適用される主な法令実務上の要請
契約書面の交付取適法4条 & トラック法12条/24条運賃と料金(荷役・待機)を別建てで明記。併用書面は2年間保存
請負構造の可視化トラック法24条の5(実運送体制管理簿)1.5トン以上の利用運送時、運送ごとに作成して1年保存。請負階層の上下間で相互通知
荷待ち・附帯業務取適法第5条2項 & 物流特殊指定第1項契約外の無償荷役はNG。乗務日報の荷待ち記録は全車両が対象(義務化)
荷主の強要行為トラック法65条(荷主勧告)非合理な時刻指定、ペナルティ、台風等の異常気象時の運行強要には荷主名公表のペナルティ

結び

トラック運送における取引適正化は、取適法による罰則とトラック法による事業改善命令・荷主勧告という強制力を持った規律となっています。自社の出荷業務や運送委託が、これらの基準に適合しているか不安な場合は、改めて契約書と現場の乗務日報を突き合わせて確認しておきましょう。

今回は、分野別取適法務ということで、物流取引における取引適正化について見てみました。

取適法務(分野別) - 法律ファンライフ
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[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

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【令和9年4月施行】令和8年物流特殊指定改正を徹底解説~追加された「着荷主規制」と「協議に応じない代金決定の禁止」など

主要法令等

  • 独占禁止法(「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」)
  • 物流特殊指定(「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」)〔令和8年1月1日施行版〕
  • 物流特殊指定〔※令和9年4月1日施行版〕
  • 支払告示(「製造委託等に係る代金の支払に関する不公正な取引方法」)〔※令和9年4月1日施行〕
  • 支払告示運用基準(「『製造委託等に係る代金の支払に関する不公正な取引方法』の運用基準」)〔※令和9年4月1日施行〕
  • 令和8年6月17日パブコメ(改正物流特殊指定・支払告示・改正優越ガイドライン等の意見公募手続における意見の概要及びそれに対する考え方)|e-Govパブリックコメント(≫掲載ページ
  • 知財取引指針(「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」)
  • 知財取引指針契約書ひな形(「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」附属資料)|公取委HP(≫掲載ページ
  • 令和8年6月24日パブコメ(知財取引指針案および契約書ひな形案の意見公募手続における意見の概要及びそれに対する考え方)|e-Govパブリックコメント(≫掲載ページ

参考資料

主要法令等

  • 取適法(「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」)
  • 取適法施行令(「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第二条第八項第一号の情報成果物及び役務を定める政令」)
  • 4条明示規則(「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則」)
  • 7条記録規則(「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第七条の書類等の作成及び保存に関する規則」)
  • 遅延利息利率規則(「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第六条第一項及び第二項の率を定める規則」)
  • 取適法運用基準(「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」)
  • 取適法Q&A(「よくある質問コーナー(取適法)」)|公取委HP
  • 取引適正化ガイドライン(「受託適正取引等推進のためのガイドライン」)|中小企業庁HP
  • 令和7年改正法 説明資料(「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」の成立について)|公取委HP(≫掲載ページ
  • 令和7年10月1日パブコメ(同日付け「「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則」等の整備について」)|e-Gov(≫掲載ページ

参考資料

  • 取適法ガイドブック(「中小受託取引適正化法ガイドブック 下請法は取適法へ」(公正取引委員会・中小企業庁))
  • 取適法テキスト(「中小受託取引適正化法テキスト」〔令和7年11月版〕(公正取引委員会・中小企業庁))

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