昨日の企業法務シンポジウム@母校ローで、大体説明会やセミナーの類が終わったので、備忘のため重要なことをまとめておきたいな、と。
重要な点は
①どういう人が決まりどういう人が決まらないのか。
②法科大学院卒や新司合格といった資格はどのように役に立つのか。
③企業法務と法律事務所の仕事の違い
④どうやって、いつから、就職活動をするか
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①決まる人・決まらない人
<決まらない人>
〇「試験受からなかったから企業法務行く」という価値観の人。
弁護士事務所と企業法務を対等な職務領域としててはなく、上下関係で捉えている。
こういう人は面接に行っても志望動機がうまく答えられない。
〇「仕事しながら試験受けれますか」とか、「資格あったらどれぐらい給料上がりますか」とか、それちょっと違うだろという質問をする人。
〇業界研究や相手企業の研究をせず、理解不十分なまま面接に行く人が多く、そういう人は人事部のスクリーニングによって、法務部の人と会う前に外される。
企業が共通にもっている法科大学院生のイメージ。
〇コミュニケーション能力が低い
〇司法試験に未練がある
制度設計側と学生側の根本的な意識の違いとして、印象的だったのは、
「従来型のリーガルプロフェッションは訴訟業務のみが主であったが、これからのリーガルプロフェッションは非訴訟業務にも進出する。欧米ではすでにそうなっている。訴訟業務と企業法務は上下関係ではなく、企業法務は訴訟業務と対等な弁護士の新しい職務領域であるとの認識が必要。」
という話。
<決まる人>
〇働く意欲のある人。
〇具体的に自分がイキイキと働く姿がイメージできている人。
〇自分が持っている能力を見せよう見せようとするのではなく、相手が求めているものを察知して、自分の中のそこと対応する部分を切り取って差し出せる人。
〇「自分から見た自分」ではなく、客観性が鍵。独りよがりではだめ。
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②資格の効用
何度聞いても、何の資格を聞いても、どんな説明会でも、返ってくる返事は同じ。
一言でいうと、「資格の有無は関係ない。弁護士事務所で働いた経験も関係ない。」
関係ないとは、給与と関係ない、養成や与えられる仕事の内容と関係ない、という意味。
わかりやすかったのは、「企業は資格にお金を払うのではなく、実力にお金を払うのだ」というフレーズ。
具体的には、
〇法科大学院を卒業してても学部卒と扱いは変わらない。
→瑕疵担保責任がわかるとか基礎的素養があればあとはOJT。
〇法曹資格をもってても関係ない。
→その資格で表されるであろうあなたの実力が必要とされるだけ。
〇弁護士事務所の勤務経験があっても関係ない。
→その勤務経験により培われたであろうあなたの実力が必要とされるだけ。
以上の話はほとんど同じことで、要するに給与にせよ仕事内容の変化にせよ、資格ではなく各個人の飲み込みの速さによる、と言っている。
〇TOEICの点数
→英語の契約書が読めるとか、海外の仕事でうまく働けるとか、そういう実際上の実力が大事。
もっとも、企業によっては、ある仕事内容をするためにはTOEIC何点とか課しているとこもある。
でも、仕事しながらでも身につく、と答える企業も多い。
〇簿記
→2級とか3級とか資格ではなく経理書類が読めるという実力が必要とされる。
でも、企業で働くからには経理書類を読めるというのは大事と答える企業もある。
〇年齢
→年齢により一律切る、という企業はほとんどない。
が、年齢に対応する実力が要求されるので、事実上年齢を重ねるほど厳しくなる。
※しかし、日本では採用慣行上30歳をすぎるとそもそも応募できる求人自体が激減するという話を本で読んだし人材紹介会社の人にも確認した。パネリストたちはこの辺の辛い現実については語っていない気がする。
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企業側も全部正直にしゃべっているとは思えないが、まあこんな感じ。
「じゃあ何で法科大学院つくったん?」とすぐ言いたくなってしまうな~。
欧米の実体を語るにはあまりにも学生及び教員と意識が違いすぎ、かつこれを埋めるための説明活動の実態が寒々しすぎるだろ。キャリア華々しい方々よ。