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【取適法】その値引き、NGかも?代金の減額禁止ルールを図解でサクッと解説

この記事は、上記のYouTube動画を文字起こししたものです

「取引先と合意しているし、少しくらい値引きしても問題ない」

——そう思っていませんか?

実はそれ、取適法違反になる可能性があります。

今回は、中小受託取引適正化法、いわゆる取適法の中でも、見落とされがちな「代金の減額の禁止」について解説します。

経理の処理などでついやってしまいがちな代金減額のNGパターンや、どこからが違反になるのかを整理します。意図せず違反してしまうリスクを防ぐためにも、ぜひ最後までご確認ください。

取適法では、中小受託事業者を守るために、委託事業者に対して11の禁止事項が定められています。その一つが、代金の減額の禁止です。

一見すると、単なる経理処理や商慣習に見える行為でも、厳しく規制されることがあります。

では、具体的に見ていきましょう!

Section1 代金の減額の禁止とは

まず、代金の減額とは何かというと、文字通り、委託事業者が、発注時に定めた代金の額を減ずることです。

これについては、「歩引き」や「リベート」といった減額の名目や、減額の方法、金額の多少を問いません。また、発注後、いつの時点で減じても、取適法違反となります。

▽取適法5条1項3号

(委託事業者の遵守事項)
第五条
 委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、次に掲げる行為…(略)…をしてはならない。
 中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、製造委託等代金の額を減ずること。

Section2 「減ずる」にあたる3つのポイント

ここで、「減ずる」という言葉について、実務上誤解しやすいポイントを、3つ見ておきましょう。

ここの核心は、あくまで発注時に定めた代金が基準になる、ということです。

1つ目のポイントは、「名目を問わない」ということです。

「歩引き」や「リベート」、「協力金」、「振込手数料」など、どのような名目であっても、実質的に代金から差し引かれていれば、減額とみなされます。

2つ目は、「合意の有無を問わない」ということです。

たとえ、事前に契約書などで、「歩引きとして5%差し引く」といった合意をしていたとしても、客観的に見て中小受託事業者に責任がなければ、取適法違反となってしまいます。

そして、3つ目は、「方法を問わない」ということです。

例えば、期中の価格交渉で、単価の引下げが決まった際に、合意日より前に発注した分にまで新単価をさかのぼって適用し、差額を差し引く、「単価改定の遡及適用」も減額にあたります。

また、代金の総額はそのままにしておいて、数量を増加させる「増量値引」や、支払時に1円以上を切り捨てる、「端数切捨て」なども、減額にあたります。さらに、代金を銀行口座へ振り込む際の手数料を、中小受託事業者に負担させて、差し引くことも、減額です。 

ほかにも、最初から差し引く方法だけでなく、いったん全額支払った後で、減額分を委託事業者に返戻させる、「割戻金」のような方法も含まれます。

Section3 「減ずる」にあたらない場合:ボリュームディスカウント

では、発注時の金額から一切の引下げができないのかというと、そうではありません。

一定期間に多量の発注を行ったことによる、ボリュームディスカウントについては、現状、唯一認められているケースとして、そもそも禁止されている「減額」という行為自体にあたらない(=非該当である)とされています。

ただし、これには、厳格な要件があります。

  • あらかじめ取引条件として合意されていること
  • 書面等で作成されていること
  • 当初の代金額と割戻金(つまりディスカウント分)を合わせて実際の代金とすることが、合意されていること

などが必要です。

また、

  • 発注数量の増加と、それによる単位コストの低減により、割戻金を支払っても、中小受託事業者の利益が従来より増加すること
    =つまり、ボリュームと割戻金の設定に合理性があること

も、求められます。

Section4 代金の減額が認められる例外

一方で、行為としては「減ずる」にあたるけれども、例外として許されるケースもあります。それは、「中小受託事業者の責めに帰すべき理由」がある場合です。

例えば、納品物が委託内容と異なっていたり、納期の遅れが生じたりして、受領拒否や、返品ができるようなケースですね。

この場合、減額できる範囲も決まっています。

  • 受領拒否や返品をするなら、「その分の代金」
  • 受領して、委託事業者が手直しをするなら、「その実費分」。
  • 手直しをしない場合は、「商品価値の明らかな低下について、客観的に相当と認められる額」

に限られます。

まとめ

では最後に、まとめます。

代金の減額の禁止は、発注時点で合意した金額を後から減らすことを、厳しく禁じています。 「お互いに合意があれば大丈夫」という認識は、取適法においては通用しない場面がよくあります。

実務においては、

  • 振込手数料を差し引いていないか
  • 端数処理で、切り捨てを行っていないか
  • 価格改定時に、遡及適用を行っていないか

日々の経理処理や、取引条件を見直し、意図しない違反を防ぐ体制を整えることが求められます。

結び

では、今回の話は以上です。

今回は、取適法ということで、代金の減額の禁止について見てみました。ではまた。

  • このスクリプトは、以下の解説記事をベースに、なるだけ会話に近い内容になるよう再構成したものです。より正確な内容については、記事および関連法令をご確認ください
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