法務トーク(動画)

【取適法】不当な変更・やり直しの禁止ルールを図解でサクッと理解

この記事は、上記のYouTube動画を文字起こししたものです

今回は、中小受託取引適正化法、いわゆる取適法ということで、委託事業者の禁止事項のうち不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止について取り上げたいと思います。

取適法では、立場が弱い中小受託事業者が発注元の都合によって不当な不利益を被ることを防ぐために、委託事業者の11の禁止事項を定めています。今回はその一つである、不当変更の禁止について見ていきます。

ビジネスの現場では、仕様変更や急な計画変更、あるいは「イメージと違う」といった理由での修正指示は、日常的に発生し得るものです。しかし、取適法においては、発注後にこれらの変更を中小受託事業者に求める際、費用を負担しないことは違法となります。

ではさっそく見ていきましょう!

Section1 「変更」と「やり直し」の違い

まず、不当な変更及びやり直しの禁止というのは、委託事業者は、中小受託事業者に責任がないのに、給付の受領前にその内容を変更したり、受領後にやり直しをさせてはならないというルールのことです。

ここには「変更」と「やり直し」という言葉が出てきますが、給付内容の「変更」というのは、給付の受領前の話になります。当初明示された委託内容を変更し、異なる作業を行わせることであり、発注の取り消し、つまりキャンセルもこれに含まれます。

一方で「やり直し」というのは、給付の受領後、またはサービスの提供後に、追加的な作業を行わせることを指します。

Section2 費用負担の有無がポイント

次に、これがどういう場合に「不当」となるのかという点ですが、ここの核心は、費用負担の有無になります。仕様変更ややり直しを指示すること自体が、直ちに禁止されるわけではありません。

変更ややり直しによって、中小受託事業者が行った作業が無駄になったり、追加の作業が必要になったりした場合に、委託事業者がその費用を負担しないことが「利益を不当に害する」として違反になります。

逆に言えば、無駄になった費用や発生した追加費用を適切に支払って負担すれば、この違反にはならないということです。

Section3 無償での変更・やり直しが認められる例外

では、無償での変更ややり直しが認められるのはどのような場合かというと、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がある場合に限られます。

たとえば、納品物が仕様書と異なっていた場合などですね。

しかし、たとえ「不良品だ」「仕様と違う」と言ったとしても、次のようなケースは中小受託事業者の責任とは認められず、費用負担なしに行えば違反となります。

1つ目は、発注時に仕様を明確にしないまま作業を進めさせ、後になって「意図と違う」とやり直させる曖昧な発注のケースです。

2つ目は、発注後に提案内容や試作品を一度は承認したのに、後になって変更させる事後的な承認のケースです。

3つ目は、発注後に検査基準を厳しくし、当初の基準では合格していたものを不合格としてやり直させるケースです(検査基準の厳格化)。

そして4つ目は、直ちに発見できない瑕疵であっても、受領後1年を経過した後にやり直しを求めるケースです(1年経過後の要求)。ただし、委託事業者の、顧客に対する保証期間が1年を超える場合は、それに応じた保証期間は可とされています。

このように、発注元の都合や理不尽な理由による無償のやり直し、運用上の制限期間を過ぎたやり直しは認められません。

Section4 注意すべき具体的な違反類型

では最後に、業種ごとにどのような行為が違反となるのか、具体的なケースを見てみましょう。

まず、製造・修理委託における事例としては、①「製品在庫が急増したから」といった自社の都合で発注を取り消し、すでに手配した材料費や作業費を払わないケースや、②上位の顧客からの仕様変更を理由に追加作業をさせ、その費用を負担しないといったケースがあります。

次に、情報成果物作成委託における事例です。デザインや番組制作などですね。①仕様を明確に指示しないまま作業させ、納品直前に「仕様と異なる」と無償でやり直させたり、②担当者の交代や役員の鶴の一声で修正が必要になった際に、追加費用を払わないケースです。

情報成果物は事前に仕様を完全に確定するのが難しいこともありますが、お互いに十分話し合って合理的な費用負担の割合を決める必要があります。

そして、役務提供・特定運送委託、いわゆる物流等における事例です。ここでは「待機時間」が特に問題になります。

①トラックが指定時刻に到着したのに、荷積みの準備不足などで長時間の待機をさせ、その費用を負担しないことは、不当な給付内容の変更として問題となります。また、②運送当日の朝の直前キャンセルや、届け先の都合で待機が発生した場合でも、発注元が費用を負担しなければ違反となります。

まとめ

では最後にまとめます。

不当な給付内容の変更・やり直しを回避するためには、発注段階で、可能な限り具体的かつ明確な仕様や条件を、書面で明示することが重要です。これにより、言った言わないのトラブルや、曖昧な指示による無償のリテイクを防ぎます。

また、仕様変更や追加作業が発生した際は、追加費用の見積もりと合意を書面で行うこと、物流においては待機時間を管理し、適正な待機料などを支払うことが求められます。

ビジネス環境の変化で計画変更は避けられないこともありますが、そのコストを立場の弱い中小受託事業者に一方的に押し付けることは、取適法の下では違法となります。変更にはコストが伴うことを前提とした、公正な取引関係の構築が求められます。

結び

では今回の話は以上です。

今回は取適法ということで、不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止について見てみました。ではまた。

  • このスクリプトは、以下の解説記事をベースに、なるだけ会話に近い内容になるよう再構成したものです。より正確な内容については、記事および関連法令をご確認ください
法務トーク(動画) - 法律ファンライフ
法務トーク(動画) - 法律ファンライフ

houritsushoku.com

[注記]
本記事は管理人の私見であり、管理人の所属するいかなる団体の意見でもありません。また、正確な内容になるよう努めておりますが、誤った情報や最新でない情報になることがあります。具体的な問題については、適宜お近くの弁護士等にご相談等をご検討ください。本記事の内容によって生じたいかなる損害等についても一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

法務トーク(動画)

【法令用語】「その他」と「その他の」は違う、だから何?

法務トーク(動画)

【広告法務】No.1表示と最上級表現はセットでチェック!

法務トーク(動画)

【取適法】「返品の禁止」のルールを図解でサクッと解説

法務トーク(動画)

【取適法】不当な変更・やり直しの禁止ルールを図解でサクッと理解

法務トーク(動画)

【法令用語】「ものとする」を契約書で使うべきか否か

-法務トーク(動画)