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法律ニュースの解説 #1|保釈を含む刑事手続の流れをざっくり見る記事

河井議員とか、香港の周庭さんとか、保釈のことはたびたびニュースで目にします。定期的に話題になるというか。

 

そして、今日、BLOGOSで見かけたのが、刑事弁護の超重鎮・高野隆先生のブログ記事。

 

▽香港の保釈制度|高野隆|BLOGOS

https://blogos.com/article/478400/

 

周庭さんが逮捕された件を取り上げつつ、香港の保釈制度というか刑事手続を解説した記事なのですが、“ていうか逮捕後すぐに保釈されるということ自体にびっくりだよ”という趣旨のことが書かれていて、言われてみれば確かに…と思いました。

 

日本では保釈制度は「起訴後」にしか存在しない、というのは、あんまり肌馴染みのない話だと思います。ちなみに、被疑者との接見でも、「保釈ってあるでしょ?」「いえ…保釈って起訴後でないと出来ないんですよ」というやり取りもしばしば。

 

そこで、本記事では、認め事件を前提に、保釈を含めた典型的な刑事手続の流れについてざっくりと書いてみたいと思います。

 

メモ

 ちなみに、「認め事件」というのは、要するに犯罪事実を争っていない事件のことです。

 「自白事件」ともいいます。「自白」というと、“聞かれてもないのにベラベラ喋っている”という語感に感じるかもしれませんが、そうではなく、法的には「認めている」といった意味合いです(なので、「認め事件」です)。

 

 

身体拘束の流れ(箇条書き)

身体拘束の流れをざっと箇条書きすると、以下のとおりです。なお、細かいところの説明は割愛しています。

 

<逮捕から起訴まで>

☑︎ 逮捕から48時間以内に送検(検察官送致)

☑︎ 検察官は身柄を受け取ってから24時間以内に釈放するか勾留請求する

☑︎ 勾留決定されたら10日間身体拘束

☑︎ 勾留延長されたらさらに10日間身体拘束

 (これで最大23日間)

☑︎ 勾留期間満了日に起訴(※土日になる場合は前倒しされることが多い)

 

<起訴から判決まで>

☑︎ 起訴から1か月弱後ぐらいに公判期日(認め事件の場合は、併合事件とかがない限り基本1回で終わる)

☑︎ 2・3週間後〜1か月弱後ぐらいに判決期日

 

ただ羅列すると頭がパンクしてしまいますが、上記のように、起訴を境目にして2つに割ると、多少整理しやすいです(つまり、「起訴前」「起訴後」の2つに分ける)。

 

 

身体拘束の流れ(図)

文字で見ても何のことかわかりにくいので、図にしてみます。

 

<起訴前>

※勾留と勾留延長のところ、10日「以内」と書いてますが、実際に7日とか9日とかの端数になることは基本的にありません(少なくとも自分は見たことなし)。

 

 

<起訴後>

 

という感じです。

 

これで、戻って冒頭の高野先生のブログ記事を読むと、おおなるほど…、となるかも?しれません。

 

ちなみに、起訴後の保釈も、「保釈金を積めれば、だいたい認められるんでしょ?」と思われていますが、率直にいってそうでもありません。

 

ざっくりいうと、①身元引受人と②保釈金の準備ができるのは前提、という感じ(=言い換えると、言い方はよくないですが”足切り”という感じ)です。

 

①②を前提に、裁判所を納得させられる状態でないと、認められないという感じです。たとえば、被害者がいる犯罪だと、示談が成立していない限り、かなり多くの場合は、証拠隠滅や、被害者や関係者への威迫のおそれあり、といって却下されてしまいます。

 

なお、勾留も勾留延長も、検事が請求し、裁判所が決定するものなので、最終的には裁判所が決めるのですが、裁判所が自主的に却下することはほぼ無いといっていいと思います。

 

 

起訴前の身体拘束の争い方

保釈を含めた全体の流れは、上記でだいたい全部なので、ここから先は余談です。

 

じゃあ保釈制度のない起訴前は、どうやって身体拘束を争うの?という話ですが、大きく分けて、勾留取消請求と、準抗告の2つがあります(他にも関連制度はありますが、割愛します)。

 

勾留取消請求は、勾留決定・勾留延長決定におかしなところはないんだけど、事後的な事情の変動によって、もう身体拘束する理由がなくなったでしょ、といって裁判所に取消を請求するものです。

 

準抗告は、勾留決定・勾留延長決定がそもそもおかしいといって裁判所に不服を申し立てるものです。勾留の決定に対しても、勾留の延長決定に対しても、することができます。

 

勾留取消請求と準抗告は、どちらも認められる可能性は率直にいって非常に低いですが、チャレンジするのは準抗告が多いです。

 

が、それもほとんど認められないです。勾留への準抗告はだいたい通らないですし、勾留延長への準抗告も、まあ通りません。が、たまに、「延長10日間のうち5日間を取り消す」みたいに一部取消を認めてくれることがあり、そのときは小躍りしそうになります。

 

ちなみに、下記ツイートはそういう意味です。

https://twitter.com/houritsushoku/status/1294788915723816961?s=20

 

 

結び

なお、本記事はすべて管理人の個人的な見解であることをお断りしておきます。

 

[注記]
本記事は管理人の私見であり、管理人の所属するいかなる団体の意見でもありません。また、正確な内容になるよう努めておりますが、誤った情報や最新でない情報になることがあります。具体的な問題については、適宜お近くの弁護士等にご相談等をご検討ください。本記事の内容によって生じたいかなる損害等についても一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

 

 

  • この記事を書いた人

とある法律職@転職×法務×弁護士

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。経歴:イソ弁、複数社(3社)でのインハウスローヤー、独立開業など。自分の転職経験、会社法務や法律相談、独立開業の話などをアウトプットしています。

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