電気通信事業法

電気通信事業法|通信サービスの利用者を守る「消費者保護ルール」を解説

今回は、電気通信事業法ということで、業規制の中でも、普段生活する上で身近な消費者保護ルール(法26条〜27条の4)について見てみたいと思います。

スマホやネット回線の契約って、料金プランやオプションが複雑ですよね。事業者と利用者の間に情報の非対称性があるため、「よくわからないまま契約してしまった…」「解約しようとしたら高額な違約金を請求された」といったトラブルが起こりがちです。

そこで電気通信事業法では、利用者が適正な情報を得て安心してサービスを選び、使い続けられるように、通信事業者や代理店に対して消費者保護のためのルールを課しています。契約の前から解約の時まで、どのようなルールで利用者が守られているのか、ステップごとに見ていきましょう。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

電気通信事業法における「消費者保護ルール」

電気通信事業法では、利用者が適正な情報を得て、自分に合ったサービスを安心して選び、使い続けられるようにするためのルールを定めています(法26条から法27条の4にかけて規定されている消費者保護ルール)。

このルールは、単に「契約前に説明しなさい」というだけではなく、

  • 契約前: 丁寧で分かりやすい「提供条件の説明義務」
  • 契約時: 言った・言わないを防ぐ「書面の交付義務」
  • 契約直後: クーリングオフのように解約できる「初期契約解除制度(書面による解除)」
  • 契約中: トラブルへの「苦情等の処理義務」や、急なサービス終了を防ぐ「休廃止の周知義務」
  • 営業活動: ウソの説明やしつこい勧誘を防ぐ「禁止行為」

というふうに、契約の入り口から出口(解約)までの各ステップで、消費者を守るための仕組みが網羅されています。さらに、大元の通信事業者だけでなく、携帯ショップなどの販売代理店にも適用されるのが特徴です。

それでは、それぞれのルールが具体的にどう機能しているのか、詳しく見ていきましょう。

01|契約前のルール:提供条件の説明義務(法26条)

まずは契約する前のルールです。通信事業者や代理店は、利用者と契約を結ぼうとする際、料金や解約条件などの提供条件の概要を説明しなければなりません。

▽電通法26条1項

(提供条件の説明)
第二十六条
 電気通信事業者は、利用者(電気通信役務の提供を受けようとする者を含み、電気通信事業者である者を除く。以下この項、第二十七条及び第二十七条の二において同じ。)と次に掲げる電気通信役務の提供に関する契約の締結をしようとするときは、総務省令で定めるところにより、当該電気通信役務に関する料金その他の提供条件の概要について、その者に説明しなければならない。ただし、当該契約の内容その他の事情を勘案し、当該提供条件の概要について利用者に説明しなくても利用者の利益の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして総務省令で定める場合は、この限りでない。
一 その一端が移動端末設備と接続される伝送路設備を用いて提供される電気通信役務であつて、その内容、料金その他の提供条件、利用者の範囲及び利用状況を勘案して利用者の利益を保護するため特に必要があるものとして総務大臣が指定するもの
二 その一端が移動端末設備と接続される伝送路設備を用いて提供される電気通信役務以外の電気通信役務であつて、その内容、料金その他の提供条件、利用者の範囲及び利用状況を勘案して利用者の利益を保護するため特に必要があるものとして総務大臣が指定するもの
三 前二号に掲げるもののほか、その内容、料金その他の提供条件、利用者の範囲その他の事情を勘案して利用者の利益に及ぼす影響が少なくないものとして総務大臣が指定する電気通信役務

さらに、お年寄りや未成年者などに対しては、その人の知識や経験、契約の目的に合わせて分かりやすく説明する「適合性の原則」も求められています。難しすぎる専門用語でまくしたてて契約させるようなことはNGです。

▽施行規則22条の2の3第4項

 前三項の提供条件概要説明は、利用者の知識及び経験並びに当該電気通信役務の提供に関する契約を締結する目的に照らして、当該利用者に理解されるために必要な方法及び程度によるものでなければならない。

02|契約時のルール:書面の交付義務(法26条の2)

契約が成立したら、通信事業者は遅滞なく、契約内容を記載した契約書面を交付しなければなりません。

これは、事前に説明した内容やサービス開始予定時期などを、言った・言わないの事後トラブルにならないように、目に見える形で証拠を残すためのルールです(※利用者の承諾があれば、電子メールなどの電磁的方法による提供も可能です)。

▽電通法26条の2第1項

(書面の交付)
第二十六条の二
 電気通信事業者は、前条第一項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約が成立したときは、遅滞なく、総務省令で定めるところにより、書面を作成し、これを利用者(電気通信事業者である者を除く。以下この条並びに次条第一項及び第五項において同じ。)に交付しなければならない。ただし、当該契約の内容その他の事情を勘案し、当該書面を利用者に交付しなくても利用者の利益の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして総務省令で定める場合は、この限りでない。

03|契約直後のルール:初期契約解除制度(法26条の3)

「家に帰ってよく書類を見たら、やっぱり自分には合わないプランだった…」「電波が全然入らない」といったときのための救済ルールが初期契約解除(書面による解除)です。

これはクーリングオフに似た制度で、契約書面を受け取った日(移動通信サービスの場合はサービス開始日と遅い方)から8日間であれば、利用者の都合だけで、違約金や損害賠償を払うことなく契約を解除できるというものです(※ただし、解除までに使った通信料や実施済みの工事費などは、決められた上限額の範囲で支払う必要があります)。

▽電通法26条の3第1項

(書面による解除)
第二十六条の三
 電気通信事業者と第二十六条第一項第一号又は第二号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約を締結した利用者は、総務省令で定める場合を除き、前条第一項の書面を受領した日(当該電気通信役務(第二十六条第一項第一号に掲げる電気通信役務に限る。)の提供が開始された日が当該受領した日より遅いときは、当該開始された日)から起算して八日を経過するまでの間利用者が、電気通信事業者又は届出媒介等業務受託者(第七十三条の二第二項に規定する届出媒介等業務受託者をいう。第二十七条の三第二項第二号において同じ。)がそれぞれ第二十七条の二(第一号に係る部分に限る。以下この項において同じ。)又は第七十三条の三において準用する第二十七条の二の規定に違反してこの項の規定による当該契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、これによつて当該期間を経過するまでの間にこの項の規定による当該契約の解除を行わなかつた場合には、当該利用者が、当該電気通信事業者が総務省令で定めるところによりこの項の規定による当該契約の解除を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過するまでの間書面により当該契約の解除を行うことができる

04|契約中のルール:トラブル対応とサービス終了時(法27条、法26条の4)

契約中のルールとしては、以下のようなものがあります。

  • 苦情等の処理(法27条):サービスを利用している最中に苦情や問い合わせがあった場合、通信事業者は「適切かつ迅速に」処理しなければなりません
  • 業務休廃止の事前周知(法26条の4):事業者がサービスをやめる場合、ある日突然使えなくなっては困ります。そこで、原則として休廃止の30日前(利用者への影響が特に大きいサービスは1年前)までに、利用者に代わりのサービス情報などを事前周知する義務が課されています

▽電通法27条

(苦情等の処理)
第二十七条
 電気通信事業者は、第二十六条第一項各号に掲げる電気通信役務に係る当該電気通信事業者の業務の方法又は当該電気通信事業者が提供する同項各号に掲げる電気通信役務についての利用者からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれを処理しなければならない

▽電通法26条の4第1項

(電気通信業務の休止等の周知及び届出)
第二十六条の四
 基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、次の表の上欄に掲げる場合には、総務省令で定めるところにより、同表の中欄に規定する日の総務省令で定める一年以上の期間前までに、同表の下欄に掲げる者に対し、同表の中欄に掲げる事項を周知させなければならない。ただし、利用者の利益に及ぼす影響が比較的少ないものとして総務省令で定める場合は、この限りでない。
…(以下略)…

05|営業・勧誘におけるNGルール:禁止行為(法27条の2、法27条の3)

強引な営業やだまし討ちを防ぐための禁止行為も細かく定められています。

  • 不実告知・事実不告知の禁止:契約の判断に影響する重要なこと(解約料など)をわざと隠したり、ウソをついたりしてはいけません
  • 名乗らない勧誘の禁止:勧誘を始める前に、会社名や「契約の勧誘であること」を告げる必要があります
  • 勧誘継続行為の禁止:「いりません」と断った人に対して、さらに勧誘を続けることは禁止されています
  • 解約の引き留めや高額請求の禁止:利用者が遅滞なく解約できるようにするための適切な措置を講じなかったり、月額料金を超えるような高額な違約金や契約解除手数料を請求したりすることも禁止されています
  • 行き過ぎた囲い込みの禁止(法27条の3):スマホ等の移動通信サービスでは、通信料金と端末代金を完全分離し、端末購入を条件とした通信料金の割引(不当な利益の提供)や、解約を不当に妨げるような条件設定が禁止されています

▽電通法27条の2

▽電通法27条の3第1項・第2項

代理店への指導:媒介等業務受託者に対する指導(法27条の4)

通信サービスの契約は、携帯ショップや家電量販店などの代理店(媒介等業務受託者)で行うことが多いですよね。

実は、これら代理店にも、説明義務や禁止行為といったルールが直接適用されます(法73条の3による準用)。そして大元の通信事業者には、委託先の代理店がルールを守るよう、研修を実施したり監督したりする「指導等の措置義務」が課されています(法27条の4)。

▽電通法27条の4

(媒介等業務受託者に対する指導)
第二十七条の四
 電気通信事業者は、電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理(以下「媒介等」という。)の業務又はこれに付随する業務の委託をした場合には、総務省令で定めるところにより、当該委託を受けた者(その者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下「媒介等業務受託者」という。)に対する指導その他の当該委託に係る業務の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならない。

代理店への「直接ルール」について

通信事業者からの指導(法27条の4)とは別に、一定の販売代理店には自ら総務省へ届け出る義務や、説明義務等が直接適用されるルールが用意されています(第二章 第五節 「届出媒介等業務受託者」)。詳しくは以下の関連記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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電気通信事業法では、通信事業者が代理店を管理する「指導等措置義務」と、代理店自身を直接縛る「販売代理店届出制度」が両輪となって消費者を守る構造になっています。大元からの指導だけでなく、代理店自身に対するルールもあるという構造を押さえておくとよいです

結び

電気通信事業法における消費者保護ルールは、【説明義務 + 書面交付 + 初期契約解除 + 苦情処理 + 禁止行為 + 代理店指導】という形で、契約する前から解約する時までの各段階で利用者を守っています。

スマホの契約や光回線の勧誘を受けたときは、本記事で見たような「法律で決められたルール通りに説明してくれているな」と裏側の仕組みを意識してみると、少し違った目線でサービスを選べるかもしれません。

今回は、電気通信事業法ということで、業規制のうち消費者保護ルール(法26条〜27条の4)について見てみました。

電気通信事業法 - 法律ファンライフ
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[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

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