社内規程

社内規程|会社の骨格づくり「組織規程」と組織図の作り方・押さえておきたいポイント

今回は、会社組織をスムーズに動かすための土台となる組織規程と、それを視覚化した組織図の作成ポイントについて見てみたいと思います。

組織規程は、企業活動の主体となる組織についての基本事項を定めたもので、重要な社内規程の一つです。取締役会や監査役会といった法律(会社法)で要求される機関以外は、組織のあり方に法的な縛りはほとんどないため、フラットな組織にするか重層的にするか、機能別か事業別かなど、その会社の性格やポリシーが色濃く反映されるのが特徴です。

それでは、さっそく作成時のポイントを見ていきましょう。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

組織規程(および組織図)とは

組織規程とは、その名の通り、会社の経営活動の主体となる組織について定めた規程です。

具体的には、経営組織の構造や業務分掌、職務権限等に関する基本的事項など、組織に関する大綱を定めた総合規程であり、業務の効率的な運営や責任体制の確立を目的としています。なお、詳細な内容については、業務分掌規程や職務権限規程などの個別規程に委ね、相互に補完し合いながら運用されるのが一般的です。

組織図との関係

組織規程のほかに組織図というのもありますが、この2つはいわば車の両輪のような関係にあり、文字によるルール(組織規程)と視覚的な全体像(組織図)として互いに補完し合っています。具体的には、以下のような関係性と実務上のポイントがあります。

役割の関係性

  • 組織規程:どのような部門(部・課など)を置くか、指揮命令系統はどうなっているかといった、組織の構造に関するルールを文章で規定します
  • 組織図(業務機構表):組織規程で定められた組織単位や職位、会議体などを表に図式化し、会社の組織全体がどのようになっているか、各部署がどのような位置関係にあるかを一目で把握できるようにしたものです

組織図の扱い(規程への組み込み方)については、大きく分けて2つの方法があります。

ひとつは、規程内に含める方法です。組織規程の別表として組織図を直接添付し、規程の一部として定めます。

もうひとつは、別で定める方法です。組織規程の中では、組織図は別に定める旨だけ記載し、具体的な図表は規程の外で管理します。

運用としては、組織図を規程の中に直接置かず、後者の「別に定める」形にする方法の方が運用しやすい面があるとされています。なぜかというと、組織規程の中に組織図を組み込んでしまうと、図を多少変更するだけでも、規程の改定手続(取締役会の決議など)が必要になり、煩雑になる可能性があるためです。

組織図自体は決定された事実を図表化したものと割り切り、規程とは切り離して、担当部署(総務部など)で随時最新の内容に更新できるようにしておくという実務的な工夫です

ただ、前者のように別表として規程に含めるやり方もそれなりにありますので、大切なのは、これらの方法があることを知っておいたうえで、適宜選択することかと思います。

組織規程のポイント

組織規程は大綱にとどめ、細部は別規程に委ねる

組織規程の中に、各部署の細かい業務分掌や職務権限まで全て詰め込もうとする例も見受けられますが、あまりに詰め込むと規程が膨大になりすぎてしまいます(もちろん、簡素な組織の場合はそれでも構いません)。

一般的には、組織規程では組織の大綱(基本事項)を定めるにとどめ、具体的な明細事項については、業務分掌規程職務権限規程といった別規程(細則)に委ねるのがおすすめです。

これにより、組織規程が重くなりすぎることなく、それぞれの規程ごとに役割が整理されてスッキリし、実務上も使いやすくなります。

会社の目的と命令系統の統一を明確に

通常、組織規程の冒頭には目的を定めます。ここでいう目的には、登記上の事業目的としての適法性や営利性だけでなく、社是といわれるような会社の経営上の方針やポリシーといった広義の目的も含めて定めておくことも考えられます。

また、命令系統の統一を明記することも重要です。指示や命令の経路を明確にし、中間の職位をとばして命令が及ばないようにする(直属の上司を尊重する)ルールを設けることで、責任体制が確立され、効率的な組織運営が可能になります。

組織図は自社の実態に合わせて作る

組織の中核をなす「部・課・係」などの組織単位をどう編成するかが、組織図のアウトラインになります。

ここでの鉄則は、自社の企業規模と人的構成の実態に即して作成することです。上位層の組織を必要以上に大きくしてしまうと、頭でっかちな組織図になってしまいます。

典型的には同族会社などのケースですが、たとえば親族全員を役員にしてそれぞれを組織単位のトップに据えたりするようなやり方をすると、”船頭多くして船山に上る”ような状態になり、組織が行き詰まる原因になりかねません

見栄を張らず、実態に即した必要な組織単位を編成しましょう。

組織図は見やすさ重視

組織図は視覚に訴えるものですから、できるだけ単純明瞭に表示することが大切です。ライン(指揮命令)とスタッフの組織系統を太線、細線、点線などで区別し、委員会や会議体なども図表に取り入れます。

組織図に各部署の業務分掌事項まで細かく書き込みすぎて、用紙何枚にもなるような組織図は実用性が低いといえます。せいぜい用紙1枚or数枚に収まる範囲でまとめるのが適当です。

また、冒頭で触れましたが、組織の改編は頻繁に行われる可能性があるため、組織図そのものを組織規程の中に組み込んでしまうと、変更のたびに規程改定(取締役会決議など)が必要になり大変になることがあります。その場合、規程内では組織図は別に定めるとしておき、別管理にして随時最新のものに修正できるようにしておくと運用がラクになります。

組織の改編(変更)はやりすぎ注意&趣旨の説明を

企業の成長や環境変化に合わせて組織図を変更(脱皮)していくことは必要ですが、あまり頻繁に編成変えを行うのも考えものです(従業員が常に落ち着かず、名刺を作る暇もない…という状態になっては困ります)。適度な頻度を保ちましょう。

そして、組織図を変更した際には、ただ、新しい組織図を見ておいてで済ませるやり方は好ましくありません。なぜ今回組織改正を行うのか、新しい組織でどう進めていくのかといった変更の趣旨を、社内はもちろん、必要に応じて社外の取引先などにもしっかりと説明し、正しく理解してもらうことが肝心です。

組織規程の記載内容

組織規程は会社によって独自の色が出やすい規程ですが、ある程度オーソドックスな構成のパターンはあります。一般的な組織規程は、大きく分けて「第1章 総則」「第2章 組織」「第3章 業務分掌」「第4章 責任・権限(職務権限)」といった順番で構成されることが多いといえます。

それでは、各章で具体的にどのような内容を記載するのか、順番に見ていきましょう。

総則(ルールの大前提)

まずは、規程全体の目的や基本的な考え方を宣言する「総則」からスタートします。たとえば以下のような要素が考えられます。

  • 目的:この規程が何のためにあるのか(例:「経営組織、業務分掌及び職務権限に関する基本的事項を定め、責任体制の確立を図るため」など)を定めます
  • 定義:規程内で使われる用語(組織単位、職位、権限、責任など)の意味を明確にします
  • 命令系統の統一:指示や命令がどのように下されるか(例:「上級職位者から下級職位者へ階層的になされる」など)を定め、組織の指揮命令系統が混乱しないようにルール化します
  • 職務遂行の原則:セクショナリズムを排除し、各職位が会社の目的のために相互に協力し合う姿勢を明示します

組織(会社の形を定義する)

次に、会社の中にどのような「ハコ」を作るのかを定めます。ここが組織図のベースになる部分です。

  • 組織の編成:会社の中に「部」「室」「支店」「営業所」「課」「係」などの、どのような組織単位を設置するのかを明記します
  • 組織単位の長:それぞれの組織単位に「長」(部長や課長など)を置くことや、長が不在の際の兼務ルールなどを定めます
  • 組織図に関する規定:組織単位を図表化した「組織図」についての規定を置きます。先ほども触れたとおりり、組織図は別に定めるとして規程本文とは別管理(別表など)にするやり方もあります

業務分掌(役割分担の基本ルール)

上記で作った「ハコ」に、どのような役割(仕事)を割り振るかの基本ルールを定めます。

  • 分掌の原則:各部署が自分の守備範囲(分掌の限界)をしっかり守り、業務の重複や抜け漏れ(間隙)が生じないように努めることを定めます
  • 協調の原則:複数の部署にまたがる業務については、会社全体の最適化を目指して協議・協調することを記載します
  • 各組織単位の業務分掌:ここで各部署の具体的な業務内容をズラッと書くことも可能ですが、規程が膨大になるのを防ぐため、具体的な分掌業務は、別に定める「業務分掌規程」によるとして、別規程(細則)に委ねるのが一般的です

責任・権限(誰がどこまで決めていいか)

部署の役割が決まったら、今度は各ポジション(職位)の人が持つ「責任」と「権限」の基本ルールを定めます。

  • 各職位の責任・権限の原則:各職位が職務遂行について責任を負うことと、それに必要な権限を持つことを宣言します。ここでも、具体的な権限の詳細は別に定める「職務権限規程」によるとして別規程に委ねるケースが多いです
  • 権限の行使と代行:権限は会社の方針や基準に従って行使することや、本人が出張や病気などで不在の場合に、誰が権限を代行するのかを定めます
  • 権限の委任:業務の都合で部下などに権限を委任(委譲)する場合のルールを定めます。権限を委任しても、委任した側は監督責任を免れないことや、受任者は報告義務を負うことなどを明確にしておきます
  • 報告の義務:権限を行使した結果を、上司や関連部署にきちんと報告する義務を明記します

附則・別表

最後に、この規程がいつからスタートするのか(施行日)や、改正の手続などを附則として記載します。

また、別表として、実際の組織図をここに添付する構成をとることもあります。

まとめ

このように、組織規程の大綱は、①基本ルール(総則)→②ハコ作り(組織)→③役割の割り振り(業務分掌)→④権限と責任(職務権限)という、論理的でわかりやすい順番で並んでいます。

ポイントは、③と④の具体的な詳細については、業務分掌規程や職務権限規程といった別規程に委ねるという構成にすることです。このような骨格を作っておけば、あとは実務に合わせて肉付けをしていくことで、スッキリと使いやすい組織規程を完成させることができます。

結び

近年では、機能別組織(製造部・営業部など)の肥大化に伴う弊害を避けるため、製造から販売までを一つの組織で完結させる事業部制やカンパニー制を導入する企業も増えています。各事業部が利益責任(プロフィット・センター)を負うことで、社員のやる気アップにつながることもあります。

組織規程と組織図は、社内規程の中でも会社を動かす土台となる大事な部分ですので、自社の組織規程作りや改定の際には、ぜひこれらのポイントを参考にしてみてくださいね。

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

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