今回は、独立開業時のおそらく定番の悩み、借入金を起こすかどうか、について書いてみたいと思います。
管理人は、弁護士開業して借入金を起こし、その後返済しましたが、自分でやったみたり人に聞いたりするなかで、借入金についての考え方は、メンタルに応じて2パターンに分かれる気がしています。
そこでまず、そもそも借入金を起こすかどうかについての精神論を、強メンタル(つよめんたる)と弱メンタル(よわめんたる)の2パターンに分けて解説したいと思います(個人的見解です)。
強メンタル(つよめんたる)
これは借金を敢えて積極的に背負い、返済するために必死に働いてがんばり、筋肉をつけて、後日の爆発的な成長につなげるという方法です。
自分がお目にかかることができた経営者でゴツい人(肉体ではなく精神がゴツい人。男女関係なし。オラオラ系)は、こういうスタンスの人が多かったように思います。やはり世の中そういうものなんですかね。
ただ、強メンタルの人でないと、シンプルに潰れると思います。潰れた人はあえて表に出さないので見えてこないだけ、ということを冷静に考える必要もあるだろうなと。
弱メンタル(よわめんたる)
これは自分のメンタルの強さをわきまえて、程良いバランスを取ろうとする主義です。財布の状態とその後の見通しとを相談して決めます。いわずもがな管理人はこっちです。
そんな甘っちょろいこと言ってるからパッとしないんだよ!と強メンタルの人から罵声が飛んで来そうですが…( ;∀;)笑。
しかし、事業を初めてしばらくの間は、顧客を当初から確保していない限りは、単に貯蓄が減り続けるだけという「真綿で首を絞められる」時期があります。「息をしているだけでお金が減っていく」というフェーズです。
ここでカツカツの分しかない場合、生活費と運転資金の消費を日々眺め続けることで、じわじわとメンタルがやられる可能性があります。引退した芸能人とかでそういうこと言ってる人をテレビで見かけたことがありますが、自分がなってみて、これかと思いました。
なので、最初の初期投資としばらくの間の運転資金を決め、そこに自己資金で達しない分について、借入金を起こしておく、という方針が良いと思います。
管理人の場合、そこまでカツカツではなかったですが、かといって余裕があるという程ではなかったので、借入金と自己資金をフィフティーフィフティーにしました。
どちらかと言うと要はメンタルの方針の問題です。
どっちが優れているという問題ではない
強メンタルと弱メンタル、と書きましたが、これは優劣とか、上下という意味のつもりではなく、それぞれに合った方針をとるべきという意味です。弱メンタルには弱メンタルの生存戦略があると思います。
自分がこれまで接したことのある限りでは、経営者で成功した人は、強メンタル系の人が多いような気はします。
”借金した後、またその分を返そうと思って頑張るのよ”、”むしろ借金するのは楽しいことだ、そのあとはもっと大きくなっている”、と言っている女帝のような豪傑もおられました(女傑、というやつです)。このセリフは、ファイナンス、事業投資(設備投資)の考え方としてもシンプルに正しいですしね。朝ドラ「あさが来た」の主人公あさは、たぶんこんな人だったんじゃないかなあ、と思うような人でした。
でも、自分は自分、その人はその人です。「あなたのことは本当に尊敬しますが、私はまた別の人間です」と素直にツッコみましょう(心の中で)。もちろん、その人のようになりたいという憧れが湧いてきたら、そのようにすればよいですし。
創業時の人はみな同じらしい
話が逸れますが、創業者の悩みと二代目社長の悩みって、別種のものなんでしょうね。
自分がいろいろ話を聞いた限りでは、おそらく二代目社長の悩みは、事業立ち上げの負荷ではなく、いったん回り出した事業をどう維持していくか(そのときには従業員も増えているし責任も重大)、というところにあるんでしょうね。
初期フェーズの苦しさは、他の士業など、独立してゼロからつくっていこうという人(その時点で顧客はいない人)にはみな同じであろうと思います。管理人は非常に尊敬している美容師さんがいるのですが、その人も、最初はお金が減っていくだけだから辛いよねー、と言っていました。というより、この人から聞いて、ああみんなそうなんだな、と思いましたね。
ただ、最近は、ブロガーやYouTuberなど、とても低リスクな初期投資で参入可能な領域も増えていますね(素晴らしいこと)。初期投資の額は低ければ低いほどいいと思います。事務所開設のときも、初期投資は本当に必要なものだけに絞った方がよいと思います。
弁護士業界の昔ながらのシステムはよくできている
もうひとつ話が逸れますが、弁護士業界の昔ながらのシステムというのは、よくできていますね。自分が開業してみると、そのことがよくわかります。
昔ながらの正規ルートというのは、どこかの法律事務所にイソ弁として入り、ノウハウを学びつつ、初期投資金額と、一定程度の個人事件(自分の顧客)をつくってから独立するという方法です。
これなら、事業立上げ時のストレスは相当減ると思いますね(というか、ほとんどないのでは)。
ただ、時代的にはもはや理想、って感じもしますが。そのようになっている周囲はそんなに多くない印象です(個人的見解)。
イソ弁として入ったからといってこのとおり出来るとも限らないですしね。ブラックと丸投げでノウハウは学べない(自分で調べて頑張るだけ=即独と変わらない)、給与低廉で初期投資金額の貯蓄はできない、個人受任は禁止or受任するなら即経営参画(事務所経費を負担)とか、正規ルートから逸れるパターンももはや珍しくない気がします。
さて、借入金についての次の回は、具体的な借入の方法について書いてみたいと思います。
[注記]
本記事は管理人の私見であり、管理人の所属するいかなる団体の意見でもありません。また、正確な内容になるよう努めておりますが、誤った情報や最新でない情報になることがあります。具体的な問題については、適宜お近くの弁護士等にご相談等をご検討ください。本記事の内容によって生じたいかなる損害等についても一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。