犯罪被害/民暴

暴力団対策法|規制対象となる「指定暴力団」の意味とその関連用語を解説

今回は、暴力団対策法(暴対法)ということで、規制対象である指定暴力団の定義などについて見てみたいと思います。

指定暴力団という言葉は、ニュースや新聞でも見聞きしたことがあるかもしれません。暴力団は全部、指定暴力団なのではと思ってしまいそうですが、実は法律上、「暴力団」と「指定暴力団」には違いがあります。

本記事では、暴対法における指定暴力団の概念と、そこから派生する関連用語について解説していきます。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

規制対象の定義

暴対法は、指定暴力団など規制の対象となる組織や個人を定めることで、その後の禁止行為規制や行政措置の射程を画しています。

指定暴力団について知る前に、まずはベースとなる暴力団の定義から確認していきましょう。

暴力団

暴力団とは、その構成員が団体として、暴力的不法行為等を行うことを目的として結合した団体を指します(法2条2号)。法人格の有無を問わず、実態として継続的に活動する集団を広く含みます。

つまり、”不法行為を目的に組織された団体”というのが暴力団の基本的な概念です。

▽暴対法2条2号

 暴力団 その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。

「暴力的不法行為等」とは?

この定義におけるキーワードは、暴力的不法行為等です。

暴力的不法行為等とは、暴対法別表に掲げる犯罪行為のうち、国家公安委員会規則で定めるものをいいます(法2条1号)。

この別表/規則では、殺人・傷害・放火・爆発等の重大犯罪や業務妨害・恐喝など、暴力的手段による犯罪行為のほか、賭博開帳図利、ノミ行為、風営法違反など、暴力団が典型的に行うその他の犯罪行為が掲げられています。

つまり、暴力的不法行為等とは、単に”暴力的な振る舞い”を指す一般用語ではなく、法令上特定された犯罪類型を指す技術的な用語であり、暴力団の定義(その構成員が集団的・常習的にこれらを行うおそれがある団体)を規定するための基礎になっています。

▽暴対法2条1号、別表(第2条関係)(※【 】は管理人注)

 暴力的不法行為等 別表に掲げる罪のうち国家公安委員会規則【=暴対法規則1条】で定めるものに当たる違法な行為をいう。

別表(第二条関係)

▽暴対法規則1条

暴力団員

暴力団員とは、暴力団の構成員を意味します(法2条6号)。組織に所属し、その威力を背景に活動する個人であり、暴対法上の禁止行為や中止命令の直接の対象になります。

暴力団が組織単位の概念であるのに対し、暴力団員はその所属個人を指すと理解すると整理しやすいです。

▽暴対法2条6号

 暴力団員 暴力団の構成員をいう。

指定暴力団

指定暴力団とは、暴力団のうち、特に規模や組織性が大きく社会的影響が深刻なものについて、都道府県公安委員会が指定(法3条以下)した団体を指します(法2条3号)。

指定を受けると、その団体の構成員(=指定暴力団員)は、暴力的要求行為の禁止規制や中止命令の対象となります。

暴力団という広いカテゴリーの中から、実際に規制対象として抽出された団体が指定暴力団です。

▽暴対法2条3号

三 指定暴力団 次条の規定により指定された暴力団をいう。

3つの指定要件

指定暴力団になるための要件は法3条に規定されており、以下のようになっています。

指定要件(法3条)

  • その暴力団の実質的な目的が、組員に対して資金獲得活動を行うために自己の威力を利用させ、組員がその威力を利用することを容認する点にあること(1号)
  • その暴力団の幹部、または全組員のなかに、政令の定める一定比率以上の犯罪経歴保有者(暴力的不法行為または暴対法に定める罪を犯してから所定期間を経過しない者)が存在すること(2号)
  • その暴力団が、代表者の統制下に構成員相互の間に序列が定められ、階層的に構成されていること(3号)

簡単にいうと、

  1. 威力を利用してお金儲けを目的としていること
  2. 犯罪歴のあるメンバーが一定割合以上いること
  3. トップを頂点とするピラミッド型組織であること

ということです。

▽暴対法3条

(指定)
第三条
 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、暴力団が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、当該暴力団を、その暴力団員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団として指定するものとする。
 名目上の目的のいかんを問わず、当該暴力団の暴力団員が当該暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成又は事業の遂行のための資金を得ることができるようにするため、当該暴力団の威力をその暴力団員に利用させ、又は当該暴力団の威力をその暴力団員が利用することを容認することを実質上の目的とするものと認められること。
 国家公安委員会規則で定めるところにより算定した当該暴力団の幹部(主要な暴力団員として国家公安委員会規則で定める要件に該当する者をいう。)である暴力団員の人数のうちに占める犯罪経歴保有者(次のいずれかに該当する者をいう。以下この条において同じ。)の人数の比率又は当該暴力団の全暴力団員の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率が、暴力団以外の集団一般におけるその集団の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率を超えることが確実であるものとして政令で定める集団の人数の区分ごとに政令で定める比率(当該区分ごとに国民の中から任意に抽出したそれぞれの人数の集団において、その集団の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率が当該政令で定める比率以上となる確率が十万分の一以下となるものに限る。)を超えるものであること。
イ~へ (略)
 当該暴力団を代表する者又はその運営を支配する地位にある者(以下「代表者等」という。)の統制の下に階層的に構成されている団体であること。

指定のプロセスと有効期間

指定暴力団の指定は都道府県公安委員会が行い、指定を受けることにより、その暴力団は暴対法の規制対象となります。指定は官報に公示されます(法7条)。

指定暴力団は、警察庁の資料や各地の暴追センターHP等で確認することができます(本記事公開日現在は25団体)。

参考資料

ちなみに、一度指定されたら永遠にそのままというわけではなく、指定の有効期間は3年間と決められています。ただ、3年経っても引き続き条件を満たしている場合は、更新(再指定)されていきます。また、解散して消滅したような場合には指定が取り消されます。

▽暴対法8条1項・2項

(指定の有効期間及び取消し)
第八条
 指定は、三年間その効力を有する。
 公安委員会は、前項の規定にかかわらず、指定暴力団等が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該指定暴力団等に係る指定を取り消さなければならない。
一 解散その他の事由により消滅したとき。
二 第三条各号又は第四条各号のいずれかに該当しなくなったと明らかに認められるとき。

関連用語

暴対法や関連するルールを理解するために、いくつかの関連概念も知っておきましょう。

指定暴力団連合

複数の指定暴力団が結合して形成された団体を指し(法2条4号)、公安委員会が指定暴力団連合として指定します(法4条)。

暴力団は相互に対立関係にあることも多い一方、必要に応じて連合体を形成することがあります。そのため、その連合体にも規制を及ぼす仕組みです。

▽暴対法2条4号

 指定暴力団連合 第四条の規定により指定された暴力団をいう。

▽暴対法4条

第四条 公安委員会は、暴力団(指定暴力団を除く。)が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、当該暴力団を指定暴力団の連合体として指定するものとする。
一・二 (略)

指定暴力団等

実際の条文の中では、指定暴力団等という用語が頻繁に出てきます。

これは、指定暴力団+指定暴力団連合という意味ですが(法2条5号)、結果として、指定に基づき規制された団体を包括的に指すことになります。

つまり、実際に公安委員会が指定して規制を及ぼす対象をひとまとめに表現する便宜的な用語といえます。

▽暴対法2条5号

 指定暴力団等 指定暴力団又は指定暴力団連合をいう。

暴力団など規制対象の定義(まとめ)

 ここまでをまとめると、以下のようになります。

  • 暴力団 … 不法行為を目的とした組織
     ┗ 暴力団員 … その組織に所属する個人
  • 指定暴力団 … 暴力団のうち公安委員会が指定したもの
  • 指定暴力団連合 … 複数の指定暴力団が結合した団体
  • 指定暴力団等 … 指定暴力団+指定暴力団連合を包括する呼称
     ┗ 指定暴力団員 … 指定暴力団等に所属する個人(※法9条1項参照)

 このように、暴対法は、団体(暴力団)、個人(暴力団員)、指定による規制(指定暴力団+指定暴力団連合)を整理し、包括的な「指定暴力団等」という用語で束ねる構造になっています。

補足:指定されていない暴力団や周辺者はどうなるのか

ここで疑問に思うのは、では条件を満たさず指定暴力団になっていない小さな暴力団は野放しなのか、ということです。

結論からいうと、野放しではありません。 たしかに暴対法の禁止と命令(中止命令など)は指定暴力団をメインターゲットにしていますが、各自治体が定めている暴力団排除条例(暴排条例)などでは、指定・未指定にかかわらず、暴力団全体が対象になっています。

また、政府指針や暴排条例に基づく反社会的勢力排除という文脈では、正式な組員でなくても以下のような周辺者も通常対象とされます。

  • 準構成員:正式な組員ではないが、暴力団の統制下にあり、暴力団の威力を背景に悪さをしたり、暴力団に資金や武器を提供して協力したりしている者
  • 暴力団関係企業(フロント企業):組員や準構成員が実質的に経営に関与し、暴力団に資金提供をしている企業
  • 共生者:暴力団に利益を供与して、自らの利益拡大を図る者
  • 密接交際者:暴力団員であることを知りながらも暴力団員と親密な交際をしている者

結び

指定暴力団とは、数ある暴力団の中でも、お金儲け・犯罪歴・ピラミッド組織という3つの条件を満たし、国(公安委員会)から特に危険であるため暴対法で規制すると指定された団体のことです。

しかし、指定されていなくても暴力団であることに変わりはなく、その周辺で活動する準構成員やフロント企業も含めて、現在の社会では反社会的勢力として排除が進められています。

一般市民や企業としては、相手の組織の形態に関わらず、反社会的勢力とは関わりを持たない姿勢を持つことが大切です。

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

主要法令等

リンクをクリックすると、法令データ提供システム等に遷移します

関連団体

  • 暴追都民センター(「公益財団法人 暴力団追放運動推進都民センター」)
  • 特防連(「公益社団法人 警視庁管内特殊暴力防止対策連合会」)

-犯罪被害/民暴