電子署名法

電子署名法を勉強しよう|全体像の概観

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今回は、電子署名法を勉強しようということで、全体の目次(全体像の概観)について書いてみたいと思います。

 

ではさっそく。

 

メモ

 本カテゴリ「法務道場」では、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。

 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いていますので、感覚的な理解を掴むことを目指しているのですが、書籍などを理解する際の一助になれれば幸いです。

 

 

全体像

いろいろなサイトやニュースなどで、電子署名に関する情報は豊富になってきた感じですが、逆に何が何だかわからないような気分にもなってこないかなと。

 

そこで、いろんなトピックを、大きな括りごとにまとめて、以下のように整理してみました。新しい情報に触れても、「ここの部分の話をしているんだな」と思えれば、混乱しなくて済むかなと。

 

電子署名法の全体像

①電子署名
②タイムスタンプ
③電子証明書
④電子署名法
⑤実務上の留意点
⑥活用場面

 

電子署名法の全体像といいつつ、法律自体の説明が括り1コ分になってますけど(笑)、この6つぐらいの括りにまとめることができるのではと思います。

 

こういう全体像になるのは、法律的な部分というよりも、「そもそも電子署名って何なのよ?」という社会的部分の理解がそもそも難しいからだと思います(自分もそうです)。

 

そして、これらの括りは、以下のような感じの「流れ」で捉えることができるかなと思います。

 

全体像の流れ

まずは法律の話は置いといて、押さえておくべき基本的な3つの概念を理解
→①電子署名、②タイムスタンプ、③電子証明書

次に、上記の基本的な仕組みを踏まえて、法律的にはどうなっているのかを理解
→④電子署名法

システムの仕組みと法的な位置付けを踏まえつつ、導入の際に検討するべきポイントなどを整理
→⑤実務上の留意点

電子署名の活用場面として、使えない場面や、広がりつつある活用場面を把握
→⑥活用場面

 

こんな感じになると思います。

 

以下、順にこれらの括りの中身をざっと見ていきます。

 

①電子署名〜③電子証明書まで

「電子署名」「タイムスタンプ」「電子証明書」の項目MAPは、以下のような感じです。

 

項目MAP

電子署名
 電子署名・電子契約とは
 ハンコとの対比
 電子署名の仕組み
 
タイムスタンプ
 タイムスタンプとは
 ハンコとの対比
 タイムスタンプの仕組み

電子証明書
 電子証明書とは
 ハンコとの対比
 電子証明書の仕組み

 

3つのそれぞれについて、基本的な説明を聞き、ハンコと対比したときの話で感覚的に理解しつつ、具体的な仕組みを(最初の一歩ぐらいだけ)把握しておく、という感じになると思います。

 

ここでざっくりと、ハンコの場合と対比したときのイメージをまとめておくと、以下の表のとおりです。

紙文書の場合 電子文書の場合
紙ベースの文書 電子文書(PDFなど)
印鑑 秘密鍵
印影 電子署名
印鑑証明書 電子証明書(公開鍵証明書)
郵便局の消印、公証役場の確定日付 タイムスタンプ

 

ちょっと乱暴な“たとえ話”ではありますが、こういう風に掴まないと(少なくとも自分は)感覚的に理解できないので、書いておきました。

 

ハンコとの対比で考えると、

➢電子署名は、「印影」と見ることができそう
=作成者本人を表す印影があることによって、ⅰ作成者本人によって作成されたこと(本人性)と、ⅱ印影時以降に文書が改ざんされていないこと(完全性)が推定される

➢電子証明書(公開鍵証明書)は、「印鑑証明書」と見ることができそう
=「誰の」印鑑かを印鑑証明書によって証明する

 

という話です。

 

じゃあハンコ(印鑑そのもの)にあたるものはないの?というと、この場合の「印鑑」にあたるのは、秘密鍵(=データの送信者が暗号化するときの暗号表)かなと思います。詳しくはまた別の記事にて。

 

④電子署名法

「電子署名法」の項目MAPは、以下のような感じです。

 

項目MAP

電子署名法
 全体像
  ∟3本の柱とメリハリ
 電子署名の定義(2条)
 電子署名の効力(3条)
  ∟民訴228Ⅳ(二段の推定)の説明

 

電子署名法の全体像としては、
ⅰ電子文書に関する真正な成立の推定、
ⅱ電子認証業務に関する認定制度の導入、
ⅲ指定調査機関制度の導入、
の3つが柱なのですが、ⅱとⅲは業者等の側の話(電子認証業者にとっての業法の話)なので、ユーザーは気にしなくていい、という話です。

 

なので、電子署名の定義、電子署名の効力、といった、ⅰに関する部分をメインに見ておきましょう、ということになります。

 

⑤実務上の留意点

「実務上の留意点」の項目MAPは、以下のような感じです。

 

項目MAP

実務上の留意点
 電子署名のメリット・デメリット
  コスト削減
  工数の削減
  コンプライアンスの向上(?)
  証明力の限界
  既存のシステムとの整合性
  相手方のサービス加入要否
 電子署名サービス各種

 

メリットとデメリットを把握しつつ、導入の是非を判断し、導入する場合はサービス各種を比較・検証しましょう、という話です。

 

全くもって個人的な感覚ですが、グローバルでは「DocuSign」、ドメスティック(国内)では「クラウドサイン」vs「GMO電子印鑑Agree」、という感じがします。

 

⑥活用場面

「活用場面」の項目MAPは、以下のような感じです。

 

項目MAP

活用場面
 基本的な活用場面
 使えない場面(紙文書が必要な類型)
 広がる活用場面
  議事録
  商業登記オンライン申請
  労働条件通知書

 

法的に紙文書でないとダメな場面があるので、それは気をつけておきましょう、という話と、脱ハンコの政策推進もあり、最近はさらに活用場面が広がっています、という話です。

 

結び

これで全体の概観は終わりです。

 

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。初心者(=過去の自分)がなるだけ早く新しい環境に適応できるようにとの気持ちで書いております(ゆえに、ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれておりませんので、あしからずご了承ください)。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご留意ください。

 

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